LTV(Life Time Value)は、日本語訳すると「顧客生涯価値」です。LTVは顧客がサービスを使い続ける上で、生涯合計でそのサービスにどれくらいのお金を使ったのかを評価する指標です。LTVとして、1人の顧客が生涯を通じて企業に支払う合計金額を指す場合もあれば、企業の利益のみを指す場合もあり、また、期間としては生涯でなくある特定の期間を指す場合もあります。
例えば、Aさんが月額1000円のサービスを1年間利用した時のLTV(ここではサービス利用時から終了時まででAさんから得られる総金額)は、
LTV = 1000円(Aさんが1ヶ月間に払うお金) × 12ヶ月(Aさんがサービスを利用した期間) = 12000円
となります。
LTVをマーケティングに取り入れることで、主に既存顧客に焦点を当てたマーケティングを行うことができます。新規顧客を1人獲得するコストは既存顧客を維持する費用の約5倍もすると言われており、さらに、既存顧客の方が購入単価が大きいため、企業にとって既存顧客の維持は経営する上で費用対効果が高い施策になります。マーケティングにおいてLTV分析を行い、新規顧客を獲得するためのコストを考えながら、すでに獲得している既存顧客のLTVを高めることによって、より効率的に売上を伸ばすことにつながります。
LTV分析の方法
LTVでは主に次の式で求めることができます。
LTV = 平均購買単価 × 購入頻度 × 継続購入期間
LTV = 顧客の平均購入単価 × 平均購入回数
また、1人あたりの購入金額が定かでないときは
LTV = (売上高 – 売上原価)÷ 購入者数
という式を用いることもできます。
また、新規獲得費用や既存顧客維持費用を考慮したい場合は
LTV = (平均購買単価 × 購買頻度 × 継続購買期間) – (新規獲得費用 + 顧客維持費用)
という式で求めることもあります。
以上の式からLTVを高める方法として、①購入単価を高める②購入頻度を高める③継続購入期間を伸ばすという方法が挙げられることがわかります。
LTVを高める方法①購入単価を高める
購入単価を高めるために、まとめ売りや大容量サイズを追加すること、ギフトラッピングやオプションの追加などの付加価値のサービスを行うことがあります。ただし、単に商品自体の値段を上げてしまうとこれまで購入していた既存顧客が離れてしまう危険性もあるので、購入単価を上げたい場合は顧客の好みに合う商品の開発を行うなど、顧客の購買意欲を高めるような施策の方が効果的です。
LTVを高める方法②購入頻度を高める
購入頻度を高めるためには、アフターサービスを充実させることが重要です。例えば、購入後も顧客とコンタクトを取り続け、適切なタイミングで商品の買い替えや追加購入を促すことがあります。また、定期的な購入をしてもらうために、サブスクリプションモデルの導入も効果的です。月額や年額などの定額料金を設定し、一定のサービスや商品を購入してもらうことで、長期的に安定した収益を得ることにつながり、LTVの最大化にもつながります。
LTVを高める方法③継続購入期間を伸ばす
継続購入期間は、購入頻度を高め、購入単価を適切に設定することで自然と伸ばすことができます。例えば、購入頻度を高めるための顧客との適度なコンタクトによって、顧客ロイヤリティを向上させ、顧客に継続的に購入してもらうことにつながります。購入単価については、競合との兼ね合いで価格を見直したり、お得意様限定のお得なセールをしたりすることで顧客を離脱させず継続的な利用へとつなげることができます。
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1LTVを上げて、既存顧客の売上をもっと上げよう
LTVを高めることは、既存顧客の維持とその売上増加につながります。新規顧客獲得するよりもコストがかからない場合が多いので費用対効果が高い傾向にあります。
2LTVを高めるためにSNSを利用しよう
SNSを通じてLTVを上げようとする場合もあります。例えば、企業の公式Twitterアカウントで親しみやすいキャラクターを演じることで、顧客に愛着を持ってもらうことができます。
3LTVを高めたいからといって、商品単価を上げても効果がなさそうだなぁ
商品単価を上げるだけでは既存顧客が離脱してしまう可能性があり、結局売上につながらないことがあります。購入頻度や購入継続期間を高めることが重要です。
4LTV分析をして新規顧客の獲得コストを算出する
顧客1人あたりの獲得コスト(CPA)の上限値はLTVから計算することができます。
LTV × 粗利率 = 上限CPA
5LTVが高いからといって顧客ロイヤリティが高いとは限らないね
購入継続期間が長くても他社に乗り換えるのが面倒で使い続けている人もいれば、逆に購入継続期間が短くても企業に愛着を持っている人もいます。顧客ロイヤリティを測りたい場合はLTVでなく「ロイヤリティ指標」を用います。
サービスを長期間活用する人ほどLTVが高い
サービスを長期間活用する人ほどLTVが高い傾向にあります。
LTVが高いということは、顧客の購入単価、購入頻度、購入継続期間が高いことが考えられます。しかし、購入単価や購入頻度は商品によってはあまり変えることができないものであるため、購入継続期間の大きさがLTVに大きく関わることになります。例えば、家電製品の場合、購入単価は上げれば競合に負けてしまう恐れがあり、購入頻度を高めるために家電製品を壊れやすく作ってしまえば顧客の信頼を失うことにつながります。LTVを高めるためには、顧客ロイヤリティを上げ、購入継続年数を伸ばすことが重要です。
LTVが高い企業の特徴(カスタマーロイヤリティ=顧客の企業に対する愛着がある)
LTVが高い企業の特徴として、一般的にカスタマーロイヤリティ(顧客の企業に対する信頼、愛着)が高いというものがあります。ロイヤリティが高い顧客は、継続してその企業の商品を購入し、なおかつ、購入金額も高くなる傾向にあります。その企業しか提供できない魅力的な価値を売り出し、顧客ロイヤリティを上げることでLTVを高めることにつながります。
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