IT/Web/マーケティング用語辞典

更新:2020年6月29日

あいおーてぃー

IoT / Internet of Things

モノをインターネットにつなぐこと

POINTIoT / Internet of Thingsとは

IoT(Internet of Things)とは、直訳すると「モノのインターネット」で、「モノ」をインターネットにつなぐことをいいます。近年インターネットや通信技術の発展により、パソコンやスマートフォン、ウェアラブル端末だけでなく、家電や自動車、街灯など様々なモノがインターネットに接続できるようになりました。IoTを活用することで、遠隔でインターネットを通じて様々なモノを制御したり、各地に設置したセンサーから大量のデータを収集しビックデータとして扱ったりすることができます。

 

IoTでできること

IoTでできることを大きく4つにわけて説明します。
①モノを操作することができます。代表的なIoTの利用方法で、インターネットに接続されたデバイスから遠隔でモノの操作をおこなうことができます。例としては、外出先のスマホからエアコンの電源のオンにしたり、ペットの様子を確認しながら餌を与えたりすることができます。

②モノの状態を知ることができます。例えば、モノの電源の入切の状態や電池の残量、消費電力などを可視化できます。さらに、モノの状態のデータを蓄積・解析することで、より効率のよいエネルギー消費などに応用させることもできます。

③モノの動きを検知することができます。動きや音などを検知するセンサーを設置することで、遠隔でモノ周辺の環境についてリアルタイムで検知し、通知することができます。建設現場での事故防止や電車やバス内の混雑状況把握に用いられます。

④モノ同士で通信することができます。センサーなどの情報から自動で複数のモノを同時に動かすことができ、スマートスピーカーなど様々な分野で応用されています。信号機との通信によって自動的に車が停止・進行するという自動運転システムも、IoTの応用として研究されています。

IoTを実現するために必要な4つ要素

IoTは、大きく4つの要素である①モノ②センサー③通信手段④アプリケーションから成ります。
①モノ
ここでいうモノは、様々なモノが対象です。現在、カメラやエアコンなどの家電から、全く新しい肌着まで、様々なモノのインターネットへの接続が実現・検討されています。

②センサー
モノがインターネットに接続されるとき、モノの状態やモノの周辺環境などを感知するためのセンサーが取り付けられます。モノのスイッチの状態や周辺環境として温度や速さ、光など様々な状態検知に用いられます。

③ネットワーク
センサーで得られたデータをインターネットに送信するためにネットワークが必要です。モノによっては、長距離伝送や低消費電力が必要な場合もあり、通信の速さだけでなく様々な観点から通信手段が決定されます。

④アプリケーション
モノからインターネット上に送られた情報は、アプリケーションを用いて正しく処理することでより効果的なデータに変換できます。特に、IoTでは膨大な情報の処理が必要であることが多く、機械学習アルゴリズムなどを用いてデータの分析がされることもあります。

様々な分野でIoT×〇〇が活躍している

IoTは医療や農業、製造業など、様々な分野で活用されています。
例えば、医療現場では、ウェアラブルデバイスを患者に着用させることで患者のバイタルデータを計測して、遠隔から患者の健康状態をモニタリングをすることができます。IoTであれば、異常をリアルタイムで検知しすぐに対応できるため、在宅医療や地方の医師不足解消に役立てられています。

また、IoT技術は、ロボット技術やICT(情報通信技術)を活用して超省力・高品質生産を目標とする「スマート農業」を実現するための重要な技術の1つです。IoTを用いることでセンサーの気温や日照時間の情情報を自動的に収集・分析し、水やりや肥料の量を自動的に決めることができます。

IoTはセキュリティに注意が必要

IoTは様々なモノをインターネットにつなげて便利に扱うことができる反面、セキュリティには注意が必要です。インターネットに接続するため、サイバー攻撃などのリスクが高まります。2016年にはアメリカでDDoS攻撃(多数の機器から特定のネットワークやコンピュータに大量のリクエストを送信し過剰な負荷をかける攻撃)にIoTが利用され、TwitterやNetflixなどのサービスが一時的に利用できなくなるという被害が報告されました。

これに対し、政府はIoTセキュリティの基本方針の構築を企業に促したり、脆弱なIoT機器利用者に注意喚起をしたりしています。個々の機器レベルのセキュリティ対策には、使わないIoT機器の電源を切ったり複雑なパスワードを設定したりすることが挙げられます。

IoTは「インターネット」を経由して通信する

IoTでは、モノを「インターネット」につないで通信することが重要なポイントです。
IoTが普及される以前から用いられていた技術に「M2M」というものがあります。M2Mとは、Machine to Machineの略で、モノとモノを直接ネットワークで接続し、相互に情報のやり取りをすることができる仕組みのことです。
IoTとM2Mの大きな違いは、インターネットを通じて通信をおこなうかどうかという点です。M2Mはインターネットを経由せず、単にモノ同士の情報のやり取りをおこなうだけですが、IoTはインターネット経由でモノが接続されます。そのため、インターネットに接続する他の遠隔の端末からモノの制御や操作ができるだけでなく、M2Mのモノ同士でやり取りしていた大量の情報をインターネット上から得てビックデータとして分析し、新たな市場価値を生むこともできます。

「IoT / Internet of Things」を調べた人はこの用語も調べています

IoT / Internet of Thingsの使用例

「IoT対応のエアコンを購入したからこれからは遠隔で電源のオンオフができるようになったよ」

IoTに対応したエアコンでは、インターネットからエアコンの操作をすることができます。エアコン以外にも、照明やカメラ、電子レンジなど、様々な種類のIoTに対応した家電が販売されています。

「IoTで集めたデータをAIで分析しよう」

IoTでは従来とは比較できないほどに膨大なビッグデータを収集することができるため、データの解析にはAIが用いられることもあります。

「不審者検知のためのIoTを導入して、自宅のセキュリティを向上させよう」

不審者を検知したらユーザーに知らせるという防犯システムにはIoTが使われています。カメラの映像をずっと見ていなくでも、不審者など異常を検知したときだけ通知がくるため便利です。

IoT / Internet of Thingsに関係した気になる話題

IoTの市場は近年拡大している

IoTが普及した背景には無線通信技術の進化があります。無線接続であっても有線接続と遜色ない通信速度を得ることができるようになり、スマートフォンなどからより手軽にインターネットに接続できるようになりました。その結果、遠隔でもストレスなく通信によってモノを制御できるようになり、IoTの利用が加速しました。

2020年には新たな通信規格である5Gの実用化も進み、今後様々な分野でIoTが応用されていくことが予想されます。IDC Japanが2020年に発表した国内のIoT市場のユーザー支出額は、2019年時点で7兆1537億円にものぼり、2024年には12兆6000億円規模の市場になると見込まれています。

IoT×5Gで低遅延なモノの制御が可能になる

センサーからのデータの収集や分析を目標とするIoTなど、通信に速さを求めないユースケースでは従来の通信方式(LPWA)で十分ですが、自動運転やドローンの制御など、常にリアルタイムの大容量通信が必要な分野では5Gを利用した通信が注目されています。5GとIoTを組み合わせることで、例えば、自動運転においては、走行中に信号機や前方車・後方車と通信をおこない、車を制御することが可能になります。他にも、工場の機械制御や遠隔医療など、低遅延な通信が必要な場合は5Gの活用が研究されています。

ただし、5Gは電波の特性上、長距離伝送に適さないことや障害物の裏に回り込む回折が起きにくいためビルの影などに電波が届きづらいといったデメリットがあります。そのため、現在ではローカル5Gと呼ばれる「ある限られた空間で用いられる通信規格」が使用され、工場などの屋内空間で搬送ロボットやラインの制御に用いられています。


この記事がお役に立ちましたら、"いいね!"をお願いします
minweb辞書のIT用語をお届けします