ゲーミフィケーションとは、人が楽しいと感じる「遊び」や「競争」などのゲーム的な要素をゲームとは別の分野で応用し、企業と顧客の関係構築に利用しようとする取り組みのことを指します。
例えば、会員制のサービスに設けられている「ポイント制」や「ランク別の特典」などは、集めたポイントに応じてランクが上がるというゲーム的な要素を応用し、顧客のロイヤルティを高めることを目的としています。
近年、ゲームのような独創性やエンターテインメント性を利用し、顧客に商品の正しい使い方を理解してもらったり、ロイヤルティを高めたりすることを試みる企業が増えています。ゲーミフィケーションを活用することで、顧客と信頼関係を構築し、商品・サービスを継続的に利用してもらうことが期待できます。
ゲーミフィケーションが注目を集めるようになった背景として、インターネットの普及が挙げられます。
スマートフォンやパソコンによって、常にインターネットを利用することができる環境では、リアルタイムで情報を見ることができるソーシャルサービスが好まれます。中でもソーシャルゲームは、特に高い人気を誇っています。
また、近年の情報化社会の中では、常に大量の情報が発信されているため、顧客に対して一方的に情報配信をおこなっても、顧客に見られることなく流れてしまう可能性が高いです。ゲーム的な要素を取り込み、顧客の関心を集めることができるという点でも、ゲーミフィケーションは有効です。
ゲーミフィケーションの効果
ゲーミフィケーションがもたらす効果として、以下の2つが挙げられます。
①「ゲーム」によって顧客の消費者行動を促す
ゲーミフィケーションを導入することで、顧客に興味を持ってもらい、消費者行動を促すことができます。人が楽しいと感じる「遊び」「競争」「達成感」などのゲーム的な要素を取り入れることで、顧客の興味・関心を引きつけ、継続的にロイヤルティを高めることができます。
②組織として目標を達成しやすい
ゲーミフィケーションでは、リアルタイムでフィードバックを得ることができるため、あらかじめ設定した目標に対する進捗状況を可視化することができます。様々な活動にゲーミフィケーションを取り入れることで、組織のパフォーマンスの向上を期待することができます。
ゲーミフィケーションを構成する要素
ゲーミフィケーションを構成する要素として、「目標設定」「課題と報酬」「現状の可視化」「ユーザー間の交流」の4つが挙げられます。
①目標設定
ゲーミフィケーションを活用するためには、明確な目標を設定することが重要です。目標設定が曖昧だと、途中で目的を見失ってしまう可能性があるからです。
②課題と報酬
ゲーミフィケーションでは、クリアすべき課題が与えられ、その課題をクリアすると報酬がもらえるという仕組みを利用することが多いです。ここで注意すべきポイントとして、課題を難しくしすぎないことが挙げられます。課題の難易度が高すぎると、ユーザーが課題に取り組む前に諦めてしまう可能性があるからです。
③現状の可視化
数値やグラフ、図などを用いて、目標に対する現状を可視化することで、ユーザーにフィードバックを返すことができます。
④ユーザー間の交流
ゲームにおける「チーム戦」や「オンライン対戦」のように、他のユーザーと協力したり、ライバルとして対戦したりするなど、ユーザー同士が交流することで、サービスの活発化を促すことができます。
ゲーミフィケーションの分類
ゲーミフィケーションを取り入れる際、有効な手法として「バートルテスト」というものがあります。「ゲーマー」のタイプを分類する手法として、イギリスの著作家・ゲーム研究者、リチャード・バートルが考案しました。バートルテストによると、ゲーマーは大きく4つに分類することができます。
①アチーバー(Achiever)
アチーバーとは、課題やクエストを達成することに満足感を得るタイプのことです。条件を満たすことで得られる称号を収集したり、強敵を倒したりすることに喜びを感じるという特徴があります。
②エクスプローラー(Explorer)
エクスプローラーとは、ゲーム内で探索したり、新しい仕掛けや隠れた要素を発見したりすることに満足感を得るタイプのことです。エクスプローラータイプのユーザーは、単調な作業の繰り返しを苦手とする特徴があります。
③ソーシャライザー(Socializer)
ソーシャライザーとは、他のユーザーと交流し、積極的に関わることを好むタイプのことです。掲示板やチャット機能を用いて、他のユーザーとやり取りすることに満足感を得るという特徴があります。
④キラー(Killer)
キラーとは、他の人より上の立場に立つことに満足感を得るタイプのことです。他のユーザーよりも高いレベルであることや、高度なスキルを持っていること、それらが可視化されることに喜びを感じるという特徴があります。
新プロモーションにはゲーミフィケーションを導入しよう
ゲーミフィケーションを導入することで、顧客に興味を持ってもらい、継続的にロイヤルティを向上させることができます。
前回のサービスはゲーミフィケーションを取り入れたものの、キラーをカバーすることができなかった
ゲーミフィケーションを活用するためには、それぞれのゲーマータイプに応じて、ユーザーが満足するような仕組みを作ることが重要です。
ゲーミフィケーションを実施する上で、目標設定は欠かせない
ゲーミフィケーションを実施する際は、最終的なゴールを正確に把握するため、目標を明確に設定することが重要です。
ソーシャライザーを満足させるため、チャット機能を取り入れよう
バートルテストにおける4つのゲーマタイプには、それぞれ特徴があります。中でもソーシャライザーは、掲示板やチャットにおける、ユーザー同士のコミュニケーションを好む傾向があります。
ゲーミフィケーションの事例①NIKE
世界的に有名なスポーツブランド「NIKE」が提供している「Nike+」というサービスは、ゲーミフィケーションの活用事例の1つです。
ユーザーが「Nike+」に登録すると、運動時間やカロリー目標などを設定し、その記録を保存することができます。この記録はSNSを通じて、友人同士でシェアすることができます。また、ランキング機能によって、「Nike+」を利用している世界中のユーザーと記録を競争することも可能です。
ゲーミフィケーションの事例②くら寿司
回転寿司の大手チェーン店「くら寿司」では、「ビッくらポン!」というゲーミフィケーションを実施しています。
「ビッくらポン!」とは、食べ終わったお皿を5皿返却口に返すことで、1回ゲームをすることができるという仕組みで、当たりが出るとガチャ玉をもらうことができます。5枚という明確な目標を設定することで、あと1枚なら食べようという消費者行動を促し、売上向上に貢献しています。
この記事がお役に立ちましたら、"いいね!"をお願いします
minweb辞書のIT用語をお届けします