デシル分析とは、顧客の分析手法の1つです。顧客を購入金額の多い順に並べ替え、上位から10等分して各グループの購買動向をデータ化することで、グループごとの動向を把握することができます。顧客の購買行動を認識することで、費用対効果の高い販売戦略や、マーケティング施策の立案に活用することができます。
デシル分析という名前の由来は、ラテン語で「10等分」を意味する「デシル」という言葉です。これが転じて、マーケティングの世界でも「10等分」「10分の1」という意味で使われるようになりました。
デシル分析を実施する目的として、顧客情報を整理することが挙げられます。
効率的なマーケティング施策をおこなうためには、購入金額の高い顧客に対して、集中的にマーケティングをおこない、購入金額の低い顧客に対しては、分散的にマーケティングをおこなうなど、顧客ごとに区別することが重要です。
デシル分析を実施することで、顧客をグループ化し、各顧客グループに対する適切なマーケティング施策を検討することができます。また、優良顧客層を見つけて、集中的にマーケティング施策をおこなうことも可能です。
デシル分析の実施手順
デシル分析の実施手順は、大きく3つのステップに分けることができます。
①顧客を購入金額の多い順に並べる
すべての顧客を購入金額の多い順に並べ替えます。このとき、購入金額の対象となる期間は、マーケティング施策やプロモーションの目的に応じて設定します。
②顧客を上位から10等分し、グループ分けをおこなう
顧客を購入金額の多い順にリスト化したら、リスト上位から10等分し、グループ分けをおこないます。その後、リスト上位から10段階にランク付けをおこないます。
③各グループの総売上に対する購買金額比率を算出する
作成した顧客リストをもとに、各グループの総売上に対する購買金額比率を算出します。「グループ全体の購買金額÷総売上金額×100(%)」で算出することができます。
デシル分析のメリット
デシル分析のメリットとして、以下の2つが挙げられます。
①優良顧客層を見つけることができる
より効果的なマーケティング施策を実施するためには、どのグループを重視し、どんなマーケティング施策をおこなうのかということが非常に重要となります。デシル分析をおこなうことで、全体の購買金額比率を可視化し、優良顧客を見つけ出すことができます。
②簡単に実施することができる
デシル分析のメリットとして、誰でも簡単に実施できることが挙げられます。手順は非常にシンプルで、複雑な分析や計算をおこなう必要がないため、マーケティング分野に精通していない人でも簡単に実施することが可能です。
デシル分析のデメリット
デシル分析のデメリットとして、実施手順がシンプルであるがゆえに「単純すぎる」ことが挙げられます。
デシル分析では、購買金額の多い順にグループ分けをおこないますが、過去に高い商品を購入した顧客が、再び高い買い物をするとは限りません。そのため、デシル分析によって見つけた優良顧客が、実際の優良顧客と離れてしまう可能性があります。
また、デシル分析の指標となる購買金額について、どの期間を設定するかも非常に重要となります。設定期間が長すぎると、過去に一度だけ高額商品を購入した顧客が、上位グループに入ってしまう可能性があります。逆に設定期間が短すぎても、実際の優良顧客を取りこぼしてしまう可能性があります。
デシル分析によって優良顧客を把握しよう
デシル分析をおこなうことで、総売上に占める購買金額比率が高い顧客層を把握することができます。優良顧客を把握することで、マーケティング施策やプロモーションに活用することができます。
デシル分析は正確性に欠ける
デシル分析は非常にシンプルな分析手法であるため、他の分析手法と比較すると、正確性に欠けるというデメリットがあります。また、購入金額を反映する期間によってグループ分けが変わってくるので、期間設定は重要となります。
まずはデシル分析をやってみよう
デシル分析の手順はシンプルなので、マーケティング分野に精通していない人でも簡単に実施することができます。
今回はデシル分析ではなく、RFM分析を実施するべきだ
RFM分析では、購入金額だけでなく、購入頻度や最終購入日も考慮して、分析をおこないます。使用する指標が多い分、情報の正確性が高いので、より正確に顧客を分析したい場合に適しています。
デシル分析とRFM分析の違い
RFM分析とは、デシル分析と同様、顧客の分析手法の1つです。RFM分析では、顧客の購入金額、購入頻度、最終購入日の3つの情報から、顧客の購買動向を分析します。指標となる情報の数が多い分、より正確に顧客を分析することができます。
デシル分析とRFM分析の違いとして、指標となる情報の数が挙げられます。
デシル分析の指標は「購入金額」のみであるのに対し、RFM分析は「購入金額」「購入頻度」「最終購入日」という3つの指標を用いて分析をおこないます。そのため、デシル分析はRFM分析に比べ、情報の正確性に欠けているというデメリットがあります。
一方、RFM分析では複数の指標を用いるため、デシル分析と比べると、手順が複雑で難しいというデメリットがあります。分析をおこなう目的や担当者のスキルに応じて、デシル分析とRFM分析を使い分けることが重要です。
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