ホワイトぺーパーとは、企業が顧客の解決すべき課題と要因を分析し、顧客に向けてソリューションを提示した報告書のことです。
ホワイトペーパーは、主にBtoB(法人向けビジネス)領域における企業のマーケティングツールとして利用されていて、見込み顧客の抱えている課題解決に役立つ情報を盛り込むことで、自社製品やサービスへの興味を喚起する効果があります。
そのため、ホワイトペーパーを活用することで新規見込み顧客を獲得し、その見込み顧客を購買に向けて育成することができます。
ホワイトペーパーは、無料で課題解決のための情報やノウハウを提供します。そして、その情報と引き換えに見込み顧客のリード情報を得ることで、リード顧客の獲得やWebサイトへの集客が目的です。
また、商品やサービスの購入を検討しているユーザーにとっては、いきなり「購入」を決定するのは難しくても、ホワイトペーパーなら気軽にアクションすることができるます。そのため、顧客の段階に合わせてホワイトペーパーを提供することで、潜在顧客を有望顧客にすることができます。
①課題解決型
見込み顧客の課題を取り上げ、課題の要因分析、解決策の提示、または自社ソリューションを紹介します。
②事例紹介型
自社ソリューションによる課題解決の事例を紹介します。導入前の課題の提示と、ソリューション導入によりどのようにその課題が解決されたか、そして今後の展望が主な内容になります。事例紹介型では、論理的な解決策に加えて、具体的な解決事例が望まれます。
③レポート型
政府関連団体や業界団体により発行されている調査レポートや業界動向を企業が要約して紹介します。自社が作成したアンケート調査結果が利用されることもあります。
④その他
顧客の課題解決に関連した用語を解説する用語集や、自社が開催したセミナー・展示会を報告します。
ホワイトペーパーの活用方法
①自社サイトに掲載する
費用もかからず、比較的に簡単な活用法です。ダウンロード数を増加させるためには、広告・SNSでの告知・メルマガでの紹介するなどの施策があります。
②他媒体への掲載
多少の掲載費用はかかりますが、多数の利用者を集めている他媒体を利用することで、自社ではなかなか手が届かないリード数を獲得できます。
③その他
ホワイトペーパーは、顧客との面談時に営業ツールとして活用することで、受注確度を高めるのに役立ちます。
ホワイトペーパー作成・活用のポイント
①なるべく専門用語を使わない
ターゲットの状況に合わせて適切なホワイトペーパーを用意しましょう。顧客の立場に立ち、できる限り予備知識を必要としないホワイトペーパーを作成し、専門用語や業界用語を使う時は、注釈としてその説明を加えましょう。
②ホワイトペーパーのダウンロード時に顧客情報を取得する
読者がWebサイトでダウンロードできるように、PDF形式のホワイトペーパーを用意しましょう。また、ダウンロード時に入力を求めるフォームで、読者の企業名や所属部署、Eメールアドレスなどの情報を取得しましょう。
③リード獲得後のフローを組み立てる
ホワイトペーパーで有益な情報を提供したとしても、顧客が自ら購買に至るとは限りません。リードの行動フローを想定し、ダウンロード時に獲得した情報を用いて、それに対応する施策を実施しましょう。
ホワイトペーパーの主な構成
ホワイトペーパーでは、主に「5パラグラフの法則」が用いられることが多く、イントロ・問題喚起・解決策・製品情報・結論の順で書かれます。
①イントロダクション
ホワイトペーパーの内容の1部を資料の冒頭で提示し、読者を引きつけます。表紙タイトルはダウンロードされるかを左右する重要なポイントで、表紙から目次までの3ページは、ダウンロード前に表示し、タウンロードするかどうかを判断してもらうことが多いです。
ここでは、この資料で解決できる悩みや問題、提供する情報など、資料の要約を提示します。資料内容の目次を提示して、全体像を掴んでもらうのが良いでしょう。
②問題喚起
読者が抱える問題や悩みを掘り下げ、読者自身が意識していなかった課題に気づかせたり、共感を呼び起したりする文章を書くのが効果的です。
③解決策
問題喚起で掘り下げた読者の問題や悩みに対する解決策を明示します。事実性の高さとロジカルな解決策が求められます。実際にあったケースを盛り込むのが良いでしょう。
④製品・サービス情報
解決策を実際に解決する手段として、自社の製品やサービスについて触れます。ここでは、顧客の段階に合わせて内容を変えるのが効果的です。
まず、興味段階にいる読者に対しては、製品のメリット、事例、実際のユーザーの声などの客観的情報を記載することで、ホワイトペーパーとそれを提供している企業への信頼度を高めます。
次に、比較・検討段階にいる読者に対しては、製品やサービスの細かいスペックを記載し、自社製品の優位性のアピールと見込み顧客が得られるメリットを記載するのが良いでしょう。
⑤結論
ホワイトペーパーを流し読みする読者に向けて、イントロダクションとこの結論を読むだけでも、ホワイトペーパーの全体の内容がわかるようにします。読者が、この解決策が有用な理由を簡単に理解できるようにすると良いでしょう。
最後に会社概要を加えましょう。会社名、住所、電話/FAX番号、代表者名、創立年月日、事業内容、著者紹介、問い合わせ先などを記載して、見込み顧客が次のアクションを取るための動線を設けましょう。
「新商品の販売促進にホワイトペーパーを活用しよう」
ホワイトペーパーを用いて、顧客の抱えている問題に対するソリューションを提示し、自社製品やサービスへの興味を喚起することで新規顧客の獲得が見込むことができます。
「どうやってホワイトペーパーを作成すればいいんだろう?」
ホワイトペーパーには、顧客の購買意欲を掻き立てるため、興味を引きつけるストーリーテリング(何かを紹介する際にストーリーを持たせること)や顧客の共感を得るためのテクニックが求められることがあります。そのため、ホワイトペーパーの作成に慣れていない際は、編集プロダクションに依頼する方法もあります。
ホワイトペーパーの活用事例
①日本ナショナルインスツルメンツ株式会社
コンピュータ計測制御、データ集録、テストオートメーション用ソフトウェアとハードウェアの日本国内販売、マーケティングおよび技術サポートを行なっている会社で、ソフトウェアやハードウェアのマニュアルだけでなく、認定資格のトレーニング資料や業界動向をまとめた資料がダウンロードできます。
②株式会社セルリア
当社が運営するDIGITORでも「無料でできるWebマーケティング」や「Googleアナリティクス使い倒し活用術」などのWeb活用の資料をダウンロードすることができます。
営業資料やカタログとホワイトペーパーの違い
営業資料・カタログとホワイトペーパーは、対象とする読者が異なります。
まず、営業資料は、自社ソリューションの導入メリットを説くという、ソリューション提供側へ向けて作成された資料です。営業資料やカタログでは、主に自社サービスの具体的な料金や機能の紹介がされ、自社製品の優位性をアピールすることが目的となっています。
一方でホワイトペーパーは顧客側の視点に立って、潜在顧客も含めた見込み顧客を対象に、顧客の課題解決のための参考情報を提供することが目的です。営業資料に近い、製品・サービスを情報を掲載するホワイトペーパーもありますが、ノウハウ・課題解決を記載するものが多いです。
元はホワイトペーパーは「公的文書」の意味で使われていた
元々は、欧米で政府が政治に関する問題解決のために発行していた公式文書の総称がホワイトペーパーであり、ホワイトペーパーは、政府や公的機関による年次報告書、つまり「白書」を意味していました。
そこから転じて、民間の企業が発行するような報告書全般もホワイトペーパーと呼ばれるようになり、今では「企業が顧客の解決すべき課題と要因を分析し、顧客に向けてソリューションを提示した報告書」という意味のマーケティング用語として使われるようになりました。
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