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更新:2020年3月18日

だぶりゅーびーえす

WBS / ワークブレークダウンストラクチャー

プロジェクトマネジメントで計画立案の際に活用される手法の1つ

別名
英字

POINTWBS / ワークブレークダウンストラクチャーとは

WBS 【 Work Breakdown Structure 】 とは、作業分割構成、ワークブレークダウンストラクチャーとも呼ばれています。プロジェクトマネジメントで計画立案の際に活用される手法の1つで、主にプロジェクト全体を細かい作業に分割した構成図のことを指します。

具体的には、プロジェクト全体の作業を洗い出し、細かく内容をリストアップします。
これによって「どんな作業が発生するのか」「どの程度時間をとられるのか」「だれが担当するのか」が明らかになります。また、WBSはプロジェクト計画作成の資料としても利用できますが、同時に進歩確認にも役立てることができるので、システム開発の現場ではWBSを使った工程管理がされている場合もあります。

プロジェクトマネジメントとは

プロジェクトとは、特定の目的を達成するための計画の策定とその遂行を意味します。
プロジェクトマネジメントとは、具体的な目標が設定されたプロジェクトを実施する際に、プロジェクトを遂行できるようにコントロール(人材や資金、設備、物資、スケジュールの調整など)する、計画立案や実行管理の手法のことです。

特に方法論として確立化されており、様々な分野に適用できる「モダンプロジェクトマネジメント」を指す場合が多いです。効率的に業務を管理してプロジェクトを成功に導くことがプロジェクトマネジメントの目標だと言われています。

WBSの目的

WBS導入の主な目的は「プロジェクト完了までの工数管理を正確におこなうため」です。WBSを導入することでプロジェクト全体の作業工数をより正確に把握することが可能です。WBSによって作業全体を明確化した上で、スケジュールの策定や役割分担を決定します。こうすることでより精度の高い見積もりを導き出すことが可能です。

WBS導入のメリット

WBS導入の主なメリットを5つ紹介します。
①スケジュールの信頼性が向上する
作業を細分化することで、各作業に必要な資源や所要時間をより正確に把握することが可能です。役割分担や各作業にかかる所要時間を細かく決定しておくことで、信頼性の高いスケジュールを作成できる可能性があります。

②論理的な見積もりが可能になる
WBSを導入して工数を細かく把握すれば、「メンバーは3人でA工程は1か月、B工程は3か月必要になります。人件費はいくらで4か月分にするとC円になります。」といった論理的な見積もりが可能になります。

③優先すべきタスクがすぐにわかる
プロジェクト全体を洗い出し、作業を細分化することでこの作業が終わらないと次の作業に進めない、という事が分かり優先すべき作業を把握することができます。また、並行してできる作業はどれか、ということも把握できます。

④作業範囲の共通認識がしやすい
WBSを導入することで作業範囲の共通認識がしやすくなります。ほかの担当者との作業範囲のズレや不明な作業、作業の抜け漏れなどの予防としても効果的だと言われています。

⑤クライアントの満足度が向上する
例えば、クライアントから「なぜその見積もり金額になるのか」と聞かれた場合に、(WBSを開示し)論理的な根拠を示せると信頼を獲得できる可能性があります。

WBS導入の注意点

WBS導入の主な注意点は2つあります。
①必要な作業と工数を可能な限り明確にする
各作業を洗い出す際は、可能な限り不明確なタスクは作らないように注意すべきと言われています。タスクが不明確だと担当者は何をすべきか判断できず、作業範囲のズレも生まれやすいので、タスクは可能な限り明確化する必要があると言われています。

場合によっては、どうしてもタスクの明確化が困難というものが出てきます。こういったケースでは無理に不明確なタスクを分解するのではなく、作業を進めながら段階的に詳細化を進めることが有効だと言われています。不明確な作業を推測しても、予定とのズレが生じやすいので注意が必要です。

②プロジェクト内容に応じたテンプレートを用意する
WBSを作成する際は、プロジェクト内容に応じたテンプレートをいくつか用意しておくと、作業効率が良くなる可能性があります。プロジェクト毎に新規で作成するのは、時間と労力がかかります。
テンプレートを利用してアップデートを重ねていけば、WBSの品質向上にもつながる可能性がありますし、作業内容の抜け漏れを防ぐことができます。

WBSの作成手順

ここでは一般的なWBSの作成手順を紹介します。
①作業内容を洗い出して分解する
WBS作成前は作業がまだ大きな塊のままになっています。この状態では、各作業の所要時間がわかりづらいので、作業時間の見積もりが可能になるレベルまで分解します。

②作業の順序設定
次は作業の順序設定をします。
あるタスクが終わらないと取りかかれないタスクもあれば、他のタスクに関係なく独立して開始できるタスクもあります。作業間の依存関係を意識しつつ、作業の順序を決めていきます。

③作業の構造化
作業の順序設定が完了したら、次はそれを構造化していきます。
作業の構造化とは、同じレベルの作業をまとめ、その下にまた同じレベルの作業をまとめていき、各作業を階層化させていくことです。上と下のタスクは親子関係となっており、下の作業を足し合わせると上の作業になります(上の作業を細分化すると下の作業になる)。このように作業を構造化させることで、作業の抜け漏れを防止することが可能です。

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WBS / ワークブレークダウンストラクチャーの使用例

「WBSならばより正確な見積もりを導き出すことができます」

「WBSはプロジェクトマネジメントに必要なスキルです」

「WBSで進捗状況を管理していたから、クライアントとの交渉をスムーズに進めることができた」

「WBSを利用して進捗状況を共有しよう」

WBS / ワークブレークダウンストラクチャーに関係した気になる話題

スケジュールを可視化できるガントチャート(Gantt Chart)とは

ガントチャートとは、プロジェクト管理などで用いられる図表の1つで、縦に並んだ棒グラフの列で作業計画や進捗具合を視覚的に表わしたものです。

ガントチャートを活用するで、それぞれのタスクの関係性を視覚的に把握することが可能です。WBS作成時、スケジュールを可視化する効果的な方法としてガントチャートが利用されている場合があります。

プロジェクトマネジメントで活用されるOBSとは

OBS(Organization Breakdown Structure)とは、プロジェクトマネジメントで計画を立てる際に活用されるツールの1つで、プロジェクト全体を細かい作業に分割し、担当者を配置した構成図のことです。
WBSはプロジェクト全体を細かい作業に分解した構成図のことで、WBS上での作業の単位をワークパッケージと言います。各ワークパッケージに責任者と担当者を配置した図表がOBSになります。


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