VPSとは「Virtual Private Server」の頭文字を取ったもので、日本語では「仮想専用サーバー」と呼ばれています。VPSは物理的な1台のサーバーの中に、仮想的な複数のサーバーを構築する仕組みを持っています。
1台のサーバーを複数のユーザーで共有するという点では共用サーバーと同じですが、ユーザーごとにアプリやOS、メモリが用意されている点では専用サーバーと同じです。各ユーザーがそれぞれ専用サーバーと同じ機能を使うことができるため、自由度・性能が高いのが特徴です。
VPSの主なメリットとして、「コストパフォーマンス」「ユーザーが管理者権限を持っている」「他のユーザーの影響を受けにくい」の3つが挙げられます。
・コストパフォーマンス
VPSでは、専用サーバーとほぼ同等の自由度・性能を安価に利用することができます。
・ユーザーが管理者権限を持っている
VPSの場合、使用するOSをユーザー自身が選ぶことができます。また、好きなアプリケーションをインストールすることができます。
・他のユーザーの影響を受けにくい
共用サーバーでは、他のユーザーの使用状況によっては影響を受けることがあります。しかし、VPSはユーザーごとにアプリやOSが用意されているので、影響を受けにくい傾向があります。
VPSのデメリット
一方、VPSには「ユーザーが設定・管理する負担を負う」「専用サーバーと比べると多少の制限がある」などのデメリットもあります。
・ユーザーが設定・管理する負担を負う
VPSを使用する際、サーバーの設定や管理はユーザー自身でおこなう必要があります。
・専用サーバーと比べると多少の制限がある
VPSと専用サーバーの機能はほぼ同等ですが、物理的・ネットワーク的に多少の制限があります。また、利用できるOSも限られています。
共用サーバー、専用サーバーとの違い
VPSはユーザーごとにOSが用意されているという点で、共用サーバーと異なります。そのため、基本的に他のユーザーの影響を受けることはなく、自由にソフトウェアの運用やアプリケーションのインストールをおこなうことができます。
また、物理的にサーバーを専有するわけではないという点で、専用サーバーとも異なります。物理的な1台のサーバーを複数のユーザーが共有するため、専用サーバーと比べると性能や負荷への耐性は低くなってしまいます。
クラウドとの違い
VPSとクラウドは「複数の仮想コンピュータを1つのサーバーに共存させる」という基本的なコンセプトは共通しています。
しかし、クラウドはVPSより料金が高い分、高度な機能が提供されています。例えば、仮想コンピュータの性能を後から追加・変更したり、サーバーを増やして負担を分散することができます。また、クラウドならではの機能も利用できるので、拡張性・柔軟性において優れているといえます。
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「コスト削減のために専用サーバーからVPSに移行しよう」
VPSでは専用サーバーと同じような機能を、比較的安く利用することができます。コストパフォーマンスのよさもVPSの魅力の1つです。
「このソフトウェアの運用はたくさんのメモリが必要だから、VPSではなくクラウドを利用するべきだ」
クラウドはCPUやメモリを後から拡張することができます。そのため、予想以上に負荷が大きくなった場合も対応可能です。
「VPSの導入によって、自分でサーバーを運用する手間が増えた」
VPSのデメリットの1つが、ユーザー自身がサーバーの設定・運用をしなければならない点です。
VPSをおすすめする事例
VPSをおすすめする事例としては、主に「独自アプリを利用したいとき」「Javaを使用したいとき」「クラウドサービスでは予算外のとき」の3つが挙げられます。
・独自アプリを利用したいとき
共用サーバーは自由度が低く、利用できるアプリが制限されています。独自アプリを利用する場合は、自由度の高いVPSの方が適しています。
・Javaを使用したいとき
多くの共用サーバーではJavaを使用することができません。Javaで構成されたアプリを利用する場合は、Javaを使用することのできるVPSの方がよいでしょう。
・専用サーバーやクラウドサービスでは予算外のとき
専用サーバーやクラウドサービスは自由度の高いサービスですが、VPSと比べ、料金が高くなる傾向があります。予算が限られている場合、コストの低いVPSの方が適しています。
パソコン用OSとサーバー用OSの違い
VPSのOSは「サーバー用OS」といい、WindowsやMacOSなどの「パソコン用OS」とは機能・目的が大きく異なります。
パソコン用OSは、電源のオンオフがあるので、安定性が重視されません。また、個人で作業することを目的に作られているので、動画や音声の再生が可能です。さらに、アップデートにより、新しい機能や対応デバイスが増えることがあります。
一方、サーバー用OSは、複数のユーザーが使用することを前提としているので、安定した稼働することが重視されます。また、ネットワークを通じて遠隔アクセスされるので、ディスプレイやスピーカーなどの機器は不要です。新しい機能よりも安定して動作することが求められる傾向があります。
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