POINT本番環境とは

本番環境とは、システムやソフトウェアの開発において、システムが実際に製品として稼働し、ユーザーがシステムを利用する環境のことをいいます。システム開発としては、本番環境でシステムを利用可能な状態にすることが最終目標です。

本番環境のことを単に本番と呼ぶこともあり、プロダクション環境、商用環境といった場合も同じ意味を指します。

システム開発の流れについて

システム開発は主に、「開発環境」→「検証環境」→「ステージング環境」→「本番環境」という流れでおこなわれます。

①「開発環境」は、開発者が自由に使えるローカル環境です。システムの開発をおこないます。

②「検証環境」は、開発環境で開発した機能を検証する環境です。開発環境と分けることで、開発作業と動作テストを並行しておこなうことができます。

③「ステージング環境」は、本番に近い環境でシステムの動作確認をする環境です。本番になるべく近いデータを用意してテストします。
また、ステージング環境の後に、本番と全く同じデータを用いて動作確認をおこなうリハーサル環境がある場合もあります。

⑤「本番環境」は、システムをリリースする環境です。本番環境にデプロイされたシステムは、ユーザーが実際に利用できるようになります。

ステージング環境と本番環境の違いについて

ステージング環境は、本番に限りなく似せた環境のことで、一般のユーザーに公開されていないという点で本番環境と大きく異なります。

ステージング環境は、本番に近い環境でテストし、本番環境で不具合を起こさないためにテストするための環境です。テスト環境では稼働したのに本番環境では稼働しなかったという問題を未然に防ぐ役割を持ちます。ステージング環境で用いるデータは本番環境と同じであることが望ましいですが、機能確認やプライバシー問題のために本番通りではないデータを用いる場合もあります。

本番環境を用いる時の注意点

本番環境を用いる時の注意点として、大きく3つ挙げます。

①決まっていない作業はおこなわないことです。少しの設定を変更しただけで、システムが正常に動作しなくなってしまう可能性もあります。手順書に載っている操作やステージング環境などで確認が取れたものしか実行しないようにしましょう。

②テストを本番環境でおこなわないことです。もし本番環境でミスが起こると、システムを利用するユーザーに被害が及んでしまいます。必ずテスト用の環境でテストをするようにしましょう。

③最終的な動作確認をおこなうことです。システムをリリースして満足せず、ユーザー目線で、システムが正常に動作するか確認すると良いでしょう。

本番環境に関係した気になる話題

システム開発で使われる「システムをデプロイする」とは

「システムをデプロイする」とは、開発したシステムを実行する環境に移行し、その環境で実行可能な状態にすることです。開発環境にあったシステムを検証環境に移行すること、ステージング環境にあったシステムを本番環境に移行すること、どちらも同様にデプロイするといいます。

似た言葉にリリースという言葉がありますが、デプロイがステージング環境から本番環境だけでなく開発環境から検証環境への移行も含めるのに対し、リリースはシステムを製品として本番環境に公開することを指します。

本番環境での失敗例

本番環境での失敗例として、動作確認せずに本番環境で機器の設定を変更してしまい、本番環境のシステムが利用できなくなってしまったというものが挙げられます。例えば、サーバやネットワーク機器、アプリケーションの設定を変更してしまい、ネットワーク接続ができなくなったり、アプリケーションが応答しなくなったりするものです。

また、設定を変更する前のバックアップを取っていなかった、設定後の保存を忘れてしまったという失敗もあります。

本番環境での失敗を防ぐために、テスト環境で動作確認をしてから本番環境の設定をおこなう、マニュアル通りに手順を踏んで慎重に動作をおこなう、などの対策をするとよいでしょう。