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更新:2020年3月27日

ろんぐてーるりろん

ロングテール理論

売れ筋のヒット商品の売上に頼らなくても、種類豊富なニッチな商品の売上で全体の売上を向上できるという理論

英字

POINTロングテール理論とは

「ロングテール理論」とは、売れ筋のヒット商品群の売上に頼らなくても、ニッチな商品を種類豊富に販売することで、売上の向上を目指すことができるという理論です。
ロングテール理論は、2004年、アメリカの雑誌編集長クリス・アンダーソンによって提唱されました。縦軸に商品の販売量を記入し、横軸は販売量の多い順に商品を並べたとき、少量販売の商品群が、しっぽ(テール)のように長く伸びていることから、「ロングテール理論」と名付けられました。ヒット商品群は「ヘッド」、ニッチな商品群は「テール」と呼ばれます。
ロングテール理論は、主にAmazonやiTunesなどのインターネット通販で活用されています。インターネット通販は販売スペースに制限がなく、商品の種類をたくさん用意することができるため、ロングテール理論が成立しやすいからです。

ロングテール理論が生まれた背景

ロングテール理論が生まれた背景には、インターネットの普及があります。

インターネット普及以前は、実店舗での商品販売が主流でした。実店舗の商品販売では、一部のヒット商品に特化して大量販売をおこない、売上を確保する販売戦略が取られていました。
実店舗は売り場面積に制限があり、商品の種類数を確保することが難しかったからです。また、店舗を利用する顧客の生活範囲が限定されており、潜在的な顧客数があまり見込めないため、ニッチな商品にニーズがあるとは限りませんでした。さらに、人気商品以外の商品には宣伝費や広告費がかかるという問題点もありました。

しかし、インターネットの普及により、インターネット上での商品販売が拡大しました。これにより、多品種のニッチな商品を少量販売することが可能となりました。
商品の販売スペースに制限がなくなり、商圏が限定されなくなったため、ニッチな商品を多品種販売して顧客を確保することができるようになったからです。また、商品の紹介ページを作成すれば、検索エンジンによる集客を期待できるため、広告費が抑えられるというメリットもあります。

ロングテール理論の注意点

ロングテール理論を活用するためには、「ホームページの作成」と「長期的な視点」に注意が必要です。

・ホームページの作成
インターネット通販のホームページや、商品の紹介ページを作成する際、手抜きせず丁寧に作成する必要があります。商品・サービスごとに紹介ページを設け、説明文をきちんと書くようにしましょう。
ホームページの質が低いと、ユーザーが検索エンジンを通して流入しにくくなるためです。

・長期的な視点
ロングテール理論を活かしたインターネット通販は、検索エンジンによる集客に大きく依存した販売戦略です。そのため、SEOの弱点である即効性が低いという特徴があります。
ニッチな商品のニーズは限定的なため、購入するユーザーがすぐに現れるとは限りません。長期的な視点を持って、売上向上を目指す姿勢が必要となります。

SEOにも活用できるロングテール理論

ロングテール理論は、SEO対策にも活用することができます。
キーワード選定において「ビッグキーワード」ではなく「ロングテールキーワード」を設定することで、上位表示を狙うことができます。ビッグキーワードとは、検索数が多い単体キーワードのことです。これに対し、ロングテールキーワードとは、検索数の少ない様々なキーワードの組み合わせのことを指します。
ロングテールキーワードは、検索ボリュームは小さいものの、上位表示を狙いやすく、検索順位が安定しやすいという特徴があります。また、強い目的意識を持って検索されることが多いので、コンバージョンにも繋がりやすいです。

ロングテール理論の活用事例〜Amazon〜

Amazonとは、アメリカのネットショップ最大手の会社で、ロングテール理論を活用した販売戦略を取っています。
Amazonは豊富な品揃えが特徴で、ユーザーニーズが限定されたニッチな商品が大部分を占めています。実店舗では取り扱いが難しいような商品も販売することで、ニッチなユーザーニーズを満たすことに繋がり、売上向上を図ることができたのです。

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ロングテール理論の使用例

「ロングテール理論を活かした事業展開をおこなう」

特にインターネット通販などでは、ロングテール理論を用いた事業展開がなされています。ニッチな商品をたくさん販売することで、収益を上げることを目的としています。

「ロングテール理論を活用したいなら、Webサイト作成には力を入れるべきだ」

商品やサービスに関するWebサイトが不適切な場合、Webサイトの表示順位が上がらないため、自然検索からの流入を見込むことが非常に困難です。ユーザー視点に立ったWebサイト作りを心がけましょう。

「我が社のビジネスモデルは、ロングテール理論を活用しにくい」

商品の種類が少なかったり、販売できるスペースが狭い場合、テール部分を長くすることができないので、ロングテール理論を活用することは難しいです。

「このロングテールキーワードで上位表示を狙おう」

ロングテールキーワードとは、様々なキーワードの組み合わせのことで、コンバージョンに繋がりやすいというメリットがあります。また、上位表示を狙いやすく、表示順位も安定しやすいという特徴があります。

ロングテール理論に関係した気になる話題

ロングテール理論に対する批判

ロングテール理論に対する批判の1つに、商品の種類が少なかったり、販売スペースが狭い場合は、テール部分を長くすることができず、ロングテール理論を成立させることが難しいことが挙げられます。ロングテール理論を成立させるためには、商品の種類数と販売スペースを確保する必要があります。
また、ロングテール理論の代表例とされてきたAmazonやiTunesでも、主な収益源は「ヘッド」といわれる売上上位のヒット商品群であることがわかりました。
これらの批判を受け、最近では、テール部分を収益源として考えるのではなく、ヘッドからテールまで取り揃えることで、ユーザーの利便性を高めるという考え方に変化しつつあります。


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