千葉市消防局、DXで救急医療の「たらい回し」問題を解決

セルリア編集部 2020.07.20

千葉市消防局が株式会社Smart119が提供するシステム「Smart119」を運用。119の内容を音声で自動入力・共有することで、「たらい回し」を解消することを目標としています。

救急医療の現場が抱える課題

「受け入れ先の病院がなかなか見つけられず、患者を搬送するまでに時間がかる」
救急医療の現場では、以前からこういったことが問題視されてきました。

住民から119番通報を受けると患者に処置をしながら、救急隊が搬送できる病院まで運びます。その際、救急隊は近くの病院に電話をして受け入れ可能かどうかを確認します。

しかし、
「別の患者の治療をしているため、受け入れても適切な治療ができない」
「専門医がいない」
などの理由から断られてしまった場合、救急隊は別の病院を探さなければならず、患者を病院に連れて行くまで時間がかかってしまいます。

特に、ここ10年は救急出動が増えてきています。
そんな中、「たらい回し」は救急医療が抱える大きな課題となっています。

たらい回しは各自治体で解決する他ない

救急医療の現場における「たらい回し」を解消する術は各自治体に委ねられています。
そのため、都道府県ごと、ひいては市町村ごとの対応が必要です。

そこで、千葉市が今回、同市の消防指令センターと救急車25台に導入したのが「Smart119」です。

「Smart119」は、ITの技術を使って医療機関や自治体向けの医療システムを開発する株式会社Smart119と、千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学が共同で開発したシステム。


出典:プレスリリース

千葉市の消防指令センターに入った119番通報の内容をタブレットに入力すると、各病院の受け入れ体制を確認でき、可能な病院へすぐに搬送できるシステムです。

電話で確認せずとも、すぐに搬送できる病院が見つけられることから、「たらい回し」を改善できることが期待されています。

Smart119では音声入力も導入

システムの大きな特徴は、タブレットに救急通報の内容を入力する際、消防指令センターで対応しているオペレーターの声を認識し、自動で入力できる点。音声による自動入力によって、情報入力の時間の8割短縮に成功しています。

今後はAIによる「予測診断」も

患者情報の共有や音声による自動入力だけでなく、今後はAIによる「予測診断」も実現できるよう研究が進められています。「予測診断」は、入力された情報をもとに救急車の中でAIが病名を予測する機能で、2020年秋頃の実装を目指しています。

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千葉市消防局、DXで救急医療の「たらい回し」問題を解決

                           
セルリア編集部 2020.07.20

千葉市消防局が株式会社Smart119が提供するシステム「Smart119」を運用。119の内容を音声で自動入力・共有することで、「たらい回し」を解消することを目標としています。

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救急医療の現場が抱える課題

「受け入れ先の病院がなかなか見つけられず、患者を搬送するまでに時間がかる」
救急医療の現場では、以前からこういったことが問題視されてきました。

住民から119番通報を受けると患者に処置をしながら、救急隊が搬送できる病院まで運びます。その際、救急隊は近くの病院に電話をして受け入れ可能かどうかを確認します。

しかし、
「別の患者の治療をしているため、受け入れても適切な治療ができない」
「専門医がいない」
などの理由から断られてしまった場合、救急隊は別の病院を探さなければならず、患者を病院に連れて行くまで時間がかかってしまいます。

特に、ここ10年は救急出動が増えてきています。
そんな中、「たらい回し」は救急医療が抱える大きな課題となっています。

たらい回しは各自治体で解決する他ない

救急医療の現場における「たらい回し」を解消する術は各自治体に委ねられています。
そのため、都道府県ごと、ひいては市町村ごとの対応が必要です。

そこで、千葉市が今回、同市の消防指令センターと救急車25台に導入したのが「Smart119」です。

「Smart119」は、ITの技術を使って医療機関や自治体向けの医療システムを開発する株式会社Smart119と、千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学が共同で開発したシステム。


出典:プレスリリース

千葉市の消防指令センターに入った119番通報の内容をタブレットに入力すると、各病院の受け入れ体制を確認でき、可能な病院へすぐに搬送できるシステムです。

電話で確認せずとも、すぐに搬送できる病院が見つけられることから、「たらい回し」を改善できることが期待されています。

Smart119では音声入力も導入

システムの大きな特徴は、タブレットに救急通報の内容を入力する際、消防指令センターで対応しているオペレーターの声を認識し、自動で入力できる点。音声による自動入力によって、情報入力の時間の8割短縮に成功しています。

今後はAIによる「予測診断」も

患者情報の共有や音声による自動入力だけでなく、今後はAIによる「予測診断」も実現できるよう研究が進められています。「予測診断」は、入力された情報をもとに救急車の中でAIが病名を予測する機能で、2020年秋頃の実装を目指しています。

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