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RFM分析とは?活用手順やメリットなどについて詳しく解説!

RFM分析とは、Recency=直近いつ買ったか、Frequency=どの程度買ったか、Monetary=購入した金額という顧客の購買行動を指標化してグループ分けしたマーケティングフレームのこと。今回の記事では、RFM分析とは何か、活用手順やメリットなどについて解説します。

RFM分析とは

RFM分析とは、Recency=直近いつ買ったか、Frequency=どの程度買ったか、Monetary=購入した金額という顧客の購買行動を指標化してグループ分けしたマーケティングフレーム(分析方法)です。
また各指標のデータごとに顧客をランク付けし、「新規顧客」「優良顧客」「休眠顧客」「安定顧客」「ロイヤル顧客」「非優良顧客」などのセグメントに分類することで顧客の性質に合わせたマーケティング施策を行っていくことで顧客生涯価値=1人または1社あたりの顧客が企業に与える利益総額を増加させることを目的としています。
それでは購買行動の指標について詳しく解説していきます。

RFM分析の指標について

Recency=直近いつ買ったか

購入データをもとに、顧客が最後に商品を購入した日時を算出し、その時期によっていくつかのグループに分けます。
商品によって基準は変わるものの、前回の購入から日数が立っている顧客より直近の購入がある顧客の方が優良と考えられる。

Frequency=どの程度買ったか

超品の購入頻度から顧客をグループ化する手法。
こちらも商品によって基準は異なるが、購入頻度や回数が多ければ多いほど優良顧客であると考えられる。
また購入頻度が高い顧客が多いほど常連顧客が多く、対して購入頻度が低い顧客が多いほどサービス満足度が低いという結果が分かる。

Monetary=購入した金額

顧客の購入金額の総額を算出し、グループ分けをする。
顧客が商品を購入する際の金額が大きいほど優良顧客とされる。
また分析例として「RecencyとFrequencyの値が高いがMonetaryの値が低い」という場合は「購入頻度は多く、常連客であるが1回あたりの使用額が少ない」などの顧客データを得ることが可能となる。このように、グループごとに明確かつ効果的な施策の立案を行える点がポイントとして挙げられます。

グループ分けのポイント

RFM分析のグループ分けとは

RFM分析のグループ分けはマーケターが設定しますが、「Recency」「Frequency」「Monetary」を新規顧客、休眠顧客、安定顧客、優良顧客、ロイヤル顧客、非優良顧客といったセグメント(顧客層)に分類していきます。
そしてそれぞれのセグメントに適したマーケティング策を講じていきます。
では、ポイントとしてマーケティング施策を例を交えて解説していきます。

ポイントと施策

具体例として、新規顧客にはスタートキャンペーンなどの特典を与えることで駆黴活動を持続させたり、休眠顧客にはメールやSNS、チラシなどを用いてセールや商品の情報を送ることで購買を再開させるといった施策が考えられます。
またRFM分析を行っていくにあたり、前述のような瀬作を繰り返すだけではなく新規顧客から長期的な購入が見込める顧客へと育成していくようなマーケティングがポイントになります。

RFM分析のメリット

セグメントに適した施策の効果が発揮されやすい

RFM分析は休眠顧客や優良顧客など顧客のタイプによって施策を実施するため、購入の時期やニーズに反応しやすく効果も発揮されやすい。
また、対策を講じる際にも不調の理由がデータとして現れやすいため効果的な対策案を提示しやすくなるといったメリットがある。

顧客の優先順位を付けやすい

顧客をグループ化することにより、現状としてどの顧客にサービスを注力すべきかが明確になります。
そのためマーケティング施策を実施するにあたり、優先順位が高い方から資源やリソースを集中的に投下することが可能となり、時間や費用などの無駄を省くことが出来たりマーケティング施策の効率化にも繋がるといったメリットが挙げられます。

RFM分析の活用手順

それではRFM分析の手順は、RFM分析の活用手順を段階に分けて説明していきます。

1.仮説を立てる

RFMを行う前に自社商品やサービスにtついて解決するべき問題点や改善点について課題を設定しなければなりません。
その際に「何を分析すべきか」「指標のうちどの部分を中止すべきか」といった仮説を立てる必要があります。
また、仮説を立てる際には他のマーケティングフレームの精査や顧客だけではなく商品についての分析を並行して行うことがより効果的な仮説立案を促します。

2.データの収集

仮説立てを行った後は、顧客の「最終購入日・購入頻度・購入金額」データの集計を行います。
しかしその前に、まず自社にとって現状足りない施策は何かという観点で製品やサービス、プロモーションのデータを収集します。
理由としては「売り上げが伸びていない原因」「集客が捗っていない原因」など企業によって改善したい点は異なるため、仮説に基ついた自社データを収集した後に購買頻度や累計購買金額に加え、顧客の年齢、性別、職業などの属性データを確認する必要があるでしょう。
また、「購入頻度」を集計するためには、顧客の識別をするユニークIDが必須なため、小売業の場合はこれらのデータ収集にPOSレジ(ID-POS:顧客IDと購買データが連係しているデータ)を利用することも効果的だと考えられます。

3.データの分析

RFM分析のデータ分析では「顧客の分布」「顧客のランク分け」「総合データのビジュアル化」というポイントに絞り解説していきます。

顧客の分布

RFM分析の3つの指標である「最終購入日」「購入頻度」「購入金額」を基にした顧客の 分布状況を確認する項目です。
とはいえ、分布状況や分析を行う目的、扱う商材、BtoBビジネスかBtoCビジネスかなど によって購入のピークや下降などのタイミングが異なっていたり、金額の振れ幅が大き  かったりするため自社の現状を踏まえた上で顧客の分布図を作成してみましょう。

 また分布図を作成した際には、「なぜこの様な振れ幅になったか」「なぜこの顧客層が多 いのか」といった分布図に現れる変化を確認することが重要になります。

顧客のランク分け

数値の分布を確認した後は顧客のランク分けに取り掛かります。
最終購入日」「購入頻度」「購入金額」の3つの指標について分布を確認した上で、最初の項目で立てた仮説を基にして、いくつかのランクに分けます。
また、こちらも分布状況や分析を行う目的、扱う商材、BtoBビジネスかBtoCビジネスか などに影響されるため綿密な精査が必要とされます。

また、ランク分けに関しては企業が任意で変更できるため、際限なく分類していくことも 可能ではありますが、あまりにも細かすぎると手間やコスト、時間が膨大にかかってしま うためシンプルな区分けが企業側にとっても好ましいと考えられます。
目的に合わせて顧客をグループ化し、データを最適化するという名目の上で行うため、理 想としては3~5グループに分けるのが良いでしょう。

総合データのビジュアル化

 

最後はこれまで分析したデータをビジュアル化していきます。
下記の図では「購買頻度」と「最終購買日」で9つにグループを分類し、色のグラデー  ションで「購入金額」を表現しています。
数値のみの分析結果をパネルと色で分けることで、情報の把握やデータの共有といった意 味合いからもデータのビジュアル化は重要なポイントと考えられます。

4.マーケティング施策の企画

分析結果が明確になったタイミングで各グループごとにマーケティング施策を企画していきます。
また、この時に最初に立てていた仮説と分析結果が合致していたかどうかを確認します。
もし合致していれば仮説に基づいた施策は有効と考えられますが、ずれが生じていたり異なる分析結果が出ていた場合は仮説を立てるところから再度分析を行うのが一般的です。

5.改善施策の実行

最後に改善施策の実施へと移りますが、この項目は継続的に行っていただくことを推奨します。
かき入れ時期やピーク時など集客に関わる変化は常に起き続ける可能性があるため、PDCA(Plan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)の仮説・検証型プロセスを循環させ、マネジメントの品質を高めようという概念。)を回転させることを意識しつつ施策の展開を行っていくことがポイントになります。
それでは、分類したケースの施策例をご紹介します。

優良グループへの施策例

3つの指標の総合スコアとして上位の層は「優良グループ」となります。この層に対して企業側が望むのは「ロイヤルカスタマーへの進化」です。具体的な施策例として、限定商品の提案や限定イベントへの招待、ランクや昇給システムなどが挙げられます。
最も重要視されるのは「特別感」であり、魅力的かつ限定的な特典で、顧客と企業の信頼関係を結びます。また、信頼関係を結ぶことでSNS媒体での口コミなどの作用が働く場合もあります。

優良候補グループへの施策例

一部のスコアに課題がある顧客を優良候補グループとします。
「購入頻度」の改善先としては来店ポイントなどリピートを誘発させる施策を、「購入金額」の改善策としてはパッケージ販売などを展開します。 ECサイトなどで行える施策としては、オススメ機能の実装や、通知による顧客に適した情報の発信が例として挙げられます。
また、優良候補グループが優良グループに上がるか休眠グループとなるかによって企業の売り上げは大幅に変わるため、アンケートやインタビューなど顧客の心理を深掘りする様な分析を行うことがポイントとなります。

新規グループへの施策例

企業にとって新規グループのステップアップは重要な項目になります。
顧客全体の割合として新規グループが多い場合は、リピートや顧客の定着といった要因が不足していると考えられます。
改善案としては、初回購入後のアフターフォローや顧客とのコミュニケーションによって再来店のきっかけを作るなどが挙げられます。 また、SNSフォローによるクーポン利用や回数チケットなどの施策も効果的と思われます。

休眠グループへの施策例

休眠グループには2パターンあります。
①過去に優良または優良候補顧客であったが休眠顧客になってしまったパターン
②新規顧客から休眠顧客になってしまったパターン
以上のパターンに分けられます。
①の場合は生活の変化や住居の変化などにより休眠状態になってしまったといった理由が考えられるため、再度の呼び込みを検討しましょう。
②の場合は新規顧客のステップアップの失敗が考えられるため、新規グループ全体としての分析や施策立案の見直しを推奨します。
しかし休眠顧客の掘り起こしはコスト的にも優先順位的にも状況に応じた対応がベストです。

RFM分析の活用法

いくらRFM分析を順序通りに進めていき、分析結果を基に施策を行っても継続的な顧客が増えなければ活用しているとは言えないということになります。
そこで、カスタマージャーニーを用いることで企業の顧客獲得に大きな影響を与えることが可能になります。

カスタマージャーニー

カスタマージャーニーとは想定する顧客像(ペルソナ)の行動や商品に行き着くまでのフェーズや心情などを視認できる様にしたものです。
このカスタマージャーニーを基に顧客獲得までのシナリオを立てることで、長期的な視点での施策を打つことが可能となります。

また顧客が商品をどのように知り、手に取り、そして購入しようとしたのかという流れを追体験するようなマーケティングワークのため常に顧客目線での思考が必要とされます。

カスタマージャーニーの活用ポイント

・顧客がどのような購買プロセスで、自社の製品・サービスを購入しているかを正確にイメージできているマーケターはどれぐらいいるかを把握する

・体験全体(旅)を見える化することで、顧客目線で考え、顧客に寄り添ったマーケティング施策を考えられるようにする

・カスタマージャーニーを作成する際、マーケティング担当だけでなく、営業、サポート、開発など、組織横断的にチームを組み、「カスタマージャーニーマップ」というシンプルな形に落とし込む

・マッピングし終えたら、グルーピングを行いながら情報を整理し、行動、思考、感情の一連のストーリーとして結びつけていく

RFM分析の注意点と課題

顧客分析として万能の様なRFM分析ですが、デメリットとなる部分もいくつかあります。
活用の際に押さえていきたいポイントをご紹介致します。

①購入した商品自体は分析対象ではない

RFM分析は「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」が分析対象となるため、購入された商品自体は考慮されません。
そのため時間経過に伴う商品の販売の際にはRFM分析を使用することはできません。

②購入者の細かい属性やライフステージの変化までは考慮できない

大枠としての分析は可能ではあるが、顧客の一人一人がどのような生活をしていて、どの様な好みや思考を持っているかなどを測ることは不可能であるため、細かい情報抽出や分析は他のフレームワークを活用することを推奨します。

③コストがかかる

RFM分析では大量の顧客のデータが必要不可欠であり、そのデータの抽出や獲得には多くの手間やコスト、費用がかかります。
また、データが膨大であるということは確認する人材が必要であるため人材リソースといった観点からしてもコストがかかることは間違いありません。

様々な顧客分析方法を併用する

RFMI分析、RFM-D分析

RFM分析には分析項目を増やすことで分析範囲を広げることが可能となります。
具体的な分析方法として、「R・F・M」の指標に自社商品(Item)のという目を追加した「MRFI分析」や、距離(Distance)によるエリア情報を追加した「RFM-D分析」が挙げられます。
商品や距離といった点に焦点を当てること、より顧客のニーズや行動原理についての分析を深めることができます。

CPM分析

CPM(Customer Portfolio Management)分析は、RFM分析と同じく顧客をグループ分けをすることで顧客に適したマーケティング施策を行うフレームワークです。
しかしCPM分析では「購入頻度」「購入金額」「初回購入から最終購入までの経過日数」「最終購入日からの経過日数」を指標としています。
また、RFM分析の弱点である細かい属性の分析という点をカバーしているため休眠顧客の掘り起こしや顧客育成(ナーチャリング)に有効活用できます。

デシル分析

デシル分析とは、購買履歴データをもとに全顧客の購入金額を高い順に10等分して、各ランク(デシル1~10)の購入比率や売上高構成比を算出する分析方法のこと。
この比率や構成比によって、対売上高貢献度の高い優良顧客層を知ることができる。
このデシル分析の目的は優良顧客層を把握し、そこに集中して効率的なマーケティングを施策することである。
例えば、100名の顧客を購買金額の多い順に並べて10等分し、購買金額の比率を各グループに算出する。更に、全体の購買金額の比率から、各グループの購買金額が何%となるか算出する。このデータから、各グループの売上比率がわかり、効率的に売上を伸ばすには、どのグループを重要視すべきかを計り知ることが可能となる。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析は、顧客の属性や購入履歴などから、類似した傾向を持つ顧客を分類する分析手法です。
セグメンテーション(Segmentaion)とは市場の細分化のことを指します。
市場において顧客は属性やニーズごとに分別されますが、そこで導入でも触れた通り、「どの顧客層を狙うか」という観点が重要となります。

例えば、もし自身が商品の新規事業を立ち上げるとした時に、「性別」「年代」でセグメンテーションを行います。すると「若い女性向けの市場」「中年の男性向けの市場」の様に狙うべきユーザーや市場が見えてきます。
ではセグメンテーションを行うにあたり重要な4つの指標をご紹介していきます。

なおセグメンテーション分析に用いられる分類には、以下の基準が用いられます。

①ジオグラフィック変数(地理的変数):国、地域、都市、気候、生活習慣など
②デモグラフィック変数(人口動態変数):年齢、性別、職種、家族構成など
③サイコグラフィック変数(心理的変数):趣味嗜好、興味関心、ライフスタイルなど
④行動変数:曜日、時間、購入に至る経路、購入頻度など

こちらもCPM分析と同じく、RFM分析では考慮されていない細分化された顧客情報を基にマーケティング施策を実行していくマーケティングフレームです。インターネット広告に活用することで、地域や性別などの顧客層に合わせたアプローチやプロモーションが可能となります。さらにセグメントの特性に合わせた配信媒体および配信時間の選定を行うことで、より効率的かつ効果的にマーケティングを行えます。
例えば、社会人や学生など職業によって取れる時間は違うため、配信時間をずらすなどした対策案が効果的です。

行動トレンド分析

行動トレンド分析とは、商品売上のシーズンに依存する部分に着目し、さらに、どのような購買層がそのシーズン性(全体トレンド)をつくりだしているのかを分析する手法です。購買層の分類の軸は、年齢や性別をはじめとする様々なものが考えられます。
ただし、「シーズン」といってもそのスパンは長いものもあれば短いものもありますし、「購買層の分類軸」の組み合わせも多様で、有益な法則性を見いだすには様々な視点が必要です。

例えば、商品の売上状況はシーズン(期間)に依存する側面がありますが、清涼飲料水メーカーであれば8月あたりをピークとした暑い時期に依存するトレンドが予測されます。
さらに深掘りしていき「年齢」や「性別」という軸を用いて分析を進めるとして、1年を通して10代から20代の男性の売り上げが7割以上を閉めていたという結果が出れば「暑くなる時期の6月あたりを目安に10代から20代の男性をターゲットとして広告を打つ」といった方針が立てられます。

まとめ

・顧客のグループ分け RFM分析では、まず顧客をグループ分けするということが一番の重要ポイントとなります。
「現状として、自社にはどのようなグループの顧客が多いのか」「休眠顧客が多く、安定した顧客が少ない」など自社分析を含めた顧客のグループ分けがRFM分析のスタートラインになります。

・仮説を立てて、施策を実施する
分析を進めるにあたって、解決したい課題を基に仮説を立てることも重要です。
「リピーターが少ないということは新規顧客へのサービスが不足しているのだろう」
などの仮説を立てて、分析結果と照らし合わせてみましょう。

・他のフレームワークを併用する
RFM分析には詳細な情報を考慮した分析は範囲外であるというデメリットもあるため、その様な弱点を埋めるためにも多数のフレームワークを活用して分析の質を向上させていきましょう。

RFM分析は複雑かつコストのかかるフレームワークではありますが、以上のポイントを踏まえつつ導入してみてはいかがでしょうか。

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