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InDesignで正規表現を使ってみよう!

InDesignを使用する上で「正規表現が使えるかどうか」はとても重要です。正規表現とは文字列のパターンを一つの文字列で表現する方法のことで、InDesignだけでなくWordやGoogleドキュメントなどにもあります。今回はInDesignにおける正規表現の使い方を解説します。

カテゴリ: InDesign

本記事ではInDesignの正規表現に関する機能について詳しく解説します。

正規表現とは

正規表現(regular expression)とは文字列の集合(パターン)を、一つの文字列で表現する方法の一つです。正則表現や正規式と呼ばれることもあります。

正規表現は文章の中で、特定の文字列に変更を加えるときに役立つ機能です。正規表現を使えば、値段、日付、時間、パーセントといった変数+テキスト・記号の文字列を検索・置換したり、それらの文字列のみに文字スタイルを適用させるといったことが可能になります。

正規表現はInDesign特有の機能ではなく、プログラミングでもよく用いられる表現方法なので、Webデザイナーやエンジニアの方であれば、すでに知っている知識かもしれません。

また、WordやGoogleドキュメントといった文書作成ソフトウェアにも搭載されている機能なので、編集者やライターの方の中には正規表現を使いこなしている方もいるでしょう。

InDesignを利用する上で必須の知識ではありませんが、「InDesignの正規表現が使えること」という条件がつくデザイン職や編集職の求人も多くあります。

特に大手出版社などが発行する書籍や雑誌の制作に携わりたい方は、使えるようになっておくべき機能の一つです。

出版や印刷業界は、Web業界以上に表記の統一が厳しい世界です。半角と全角が混ざっていたり、句読点や括弧類などの約物の使い方が正しく使われていないと、校正の段階で赤が入ります。

しかし、気をつけて文章を作成をしていても、ヒューマンエラーでミスは必ず起こります。これら統一事項に関するミスを減らすのに役立つのが、本記事で紹介する正規表現なのです。

事例で学ぶ正規表現の使い方

実際にデザインや編集の現場で起きる事例を通して、正規表現の使い方を覚えていきましょう。ここでは「検索と置換」にある「正規表現」の項目で、作成された文書の内容を正規表現を用いて修正していきます。

半角の丸括弧(パーレーン)を全角に変換する

日本語の組版では、半角の丸括弧(パーレーン)を用いることは非推奨です。半角(パーレーン)と全角(パーレーン)を比較すると、半角の丸括弧は日本語のベースラインと合っていないことがわかると思います。

出版業界以外で活動する著者などから寄稿された文書には、この半角の丸括弧が用いられていることも多く、全角の丸括弧へ置き換える作業は編集の現場ではよく発生する事項の一つです。以下が正規表現で置換える方法になります。

1.修正が必要なinddファイルを開く

修正が必要なinddファイルを開きます。上のテキストは読み仮名が丸括弧で入っていますが、この丸括弧が半角になっており日本語組版だと違和感があります。

2.メニューから「検索と置換…」を選択

画面上部にあるメニューバーから編集をクリックし、表示されたメニュー項目の中から「検索と置換…」を選択します。

「検索と置換…」を選択すると、上の画像のような検索と置換の設定パネルが表示されます。

3.検索文字列と置換文字列に正規表現を入力し変換

このパネルの上部に、タブのメニューがありますので「正規表現」のタブをクリックします。クリックして表示される項目に正規表現を入力していきます。

検索文字列と置換文字列という項目欄の右横に@マークのアイコンがあります。このアイコンをクリックするとあらかじめプリセットで用意されている正規表現を選択することができます。

半角の丸括弧(パーレーン)を全角に変換するための正規表現は入っていませんので、ここでは自分で入力します。

まず検索文字列に半角の丸括弧で囲われた文字列を正規表現で入力します。正規表現で文字列として扱うためには指定したい文字に対して「 \ 」を付けます。

括弧内の文字列はそれぞれ異なります。半角の括弧に囲われた文字列を全てピックアップしたい場合は、正規表現にマッチしたものを反復して指定可能な「 (.+?) 」という文字列を入力します。検索文字列には、「 \( (.+?)\) 」という文字列が入力されました。

まず置換文字列に全角の丸括弧に置き換える正規表現で入力します。ここでは正規表現「 $1 」を全角の丸括弧で囲います。$1は一つ目という意味です。ここでマッチさせたい文字列は1つのパターンのみなので$1を用います。置換文字列には、「 ($1) 」という文字列が入力されました。

検索文字列と置換文字列に文字列が入力できたら、ここでは全ての丸括弧を置き換えたいので「すべてを置換」のボタンをクリックします。置換を確認後右下の「完了」ボタンをクリックすれば設定完了です。

上の画像のように、半角の丸括弧で囲われていた部分が全て全角の括弧に置き換わりました。

このように正規表現を用いれば「著作物名についた鉤括弧を二重鉤括弧に置き換える」「◯◯円といった表記を¥◯◯といった表記に置き換える」といったことも簡単に実現可能です。

事例で学ぶ正規表現スタイルの使い方

すでに作成されている文章に対して正規表現を用いる場合は、前述のように「検索と置換」の設定パネルで検索文字列と置換文字列の入力を行います。

ここから紹介するのは、段落スタイルや文字スタイルとしてパターンを登録することで、文章作成の段階で正規表現を自動的に実現していく方法です。

「◯◯円」の文字列のみ指定の文字スタイルを適用する

「◯◯円」の文字列のみ指定の文字スタイルを適用する事例を通して、正規スタイルの使い方を覚えていきましょう。

1.文字列の文字スタイルを変更したいinddファイルを開く

文字列の文字スタイルを変更したいinddファイルを開きます。このメニューの中の価格の文字列すべてを正規表現を用いて変更していきます。

2.メニューから「段落スタイル」を選択

画面上部にあるメニューバーからウィンドウをクリックし、表示されたメニュー項目の中から「スタイル」にある「段落スタイル」を選択します。

3.新規の段落スタイルを作成

「段落スタイル」を選択すると、段落スタイルを設定するパネルが表示されます。このパネル下部にある四角い枠で囲まれたプラスマークのアイコンをクリックすると新規の段落スタイルが追加されます。

新規の段落スタイルを追加すると、パネルに段落スタイルが表示されます。この表示された段落スタイルをダブルクリックします。

4.段落スタイルの編集パネルで新規正規表現スタイルを追加

段落スタイルをダブルクリックすると、上の画像のような段落スタイルの編集パネルが表示されます。パネル左側のメニューから「正規表現スタイル」を選択すると、正規表現スタイルを設定する画面になります。

この画面にある「新規正規表現スタイル」のボタンをクリックします。

上の画像のように、新規正規表現スタイルが追加され正規表現を入力する欄が表示されました。

5.正規表現を入力

正規表現を入力する欄に「◯◯円」という価格の文字列をマッチさせる正規表現を入力していきます。半角数字は「 \d 」で表現できるので、これに「 +円 」を追加します。円の直前の文字はn個以上なので、これを表現するために「 \d 」に「 , 」をつけて「 \d, 」とします。

テキストの欄に「  [\d,]+円 」という文字列が入力できました。

6.新規の文字スタイルを作成し正規表現に文字スタイルを適用

新規で追加した正規表現に適用する文字スタイルを作成します。文字列を入力する「テキスト」という欄の上に「スタイルを適用」という項目があります。この欄をクリックすると新規文字スタイルという項目がプルダウンメニューで表示されるので、これを選択します。

新規文字スタイルで、フォントや文字カラーなどの設定を行います。

設定が完了したら文字スタイルのパネルを閉じて、新規作成したスタイルが選択されているのを確認し、パネル右下にある「OK」ボタンをクリックします。

上の画像のように、メニューの価格の文字列のみ文字スタイルが適用されました。

正規表現のレファレンス

正規表現はプログラミング言語の一種なので、非エンジニアの方が完璧にマスターするのは非常に難しい内容です。よく使う正規表現はメモアプリに保存したりスニペットとして保存したりして、コピー&ペーストして入力するのが現実的でしょう。

InDesignの正規表現に関する機能の使い方を覚えておけば、正規表現の文字列は覚えていなくても「InDesign  正規表現」とった検索にかけて、その都度対応できるでしょう。

プログラミング言語の種類によって正規表現の運用方法は異なりますが、表現自体は、ほぼ共通しています。Microsoftが公開している正規表現言語のクイックリファレンスを以下に載せておきますので、こちらも参照してみてください。

正規表現言語 – クイック リファレンス

まとめ

InDesignで正規表現が使えるようになると、テキストの編集に関する作業効率が格段に上がります。また、校正にかかる作業コストも減らせるので、その分デザインや編集の質の向上にエネルギーを費やすことができます。

少しプログラミングに近い内容なので、苦手意識を持たれる方もいるかもしれませんが、一度覚えてしまうと簡単なので、本記事を参考にしてぜひマスターしておきましょう!

最後までお読みいただきましてありがとうございます。ご意見・ご要望などございましたら、
以下のフォームよりお問い合わせを受けつけておりますので、よろしければご利用ください。

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