人気SNS・TikTokが利用禁止に?アメリカと日本のTikTok動向まとめ

#深堀りニュース

' 杉山 夏子 2020.09.08

若年層を中心に人気を集めているSNS「TikTok」。しかし今、アメリカでの運営を巡ってTikTokが大きな危機にさらされています。今回の深掘りニュースでは、TikTokの動向や、企業がTikTokを使う前に知っておきたいことをまとめます。

SHERE!

一個人だけでなく著名人や企業なども、SNSでの発信を積極的に行うようになった今日。
様々なSNSが登場する中、若年層を中心に人気を集めているのがTikTokです。

TikTokは、中国のByteDanceが開発したアプリで、文章や写真などを共有するのではなく、15秒〜60秒のショートビデオを共有します。
曲に合わせて短いダンスを踊ったり、楽器を演奏したりと色々なショートビデオが共有されています。

しかし、TikTokは人気の高いSNSであるにも関わらず、今「買収」や「訴訟」などの大きな問題を抱えています。
今回の深掘りニュースでは、TikTokの動向や、企業がTikTokを使う前に知っておきたいことをまとめます。

TikTokにかけられた「スパイアプリ疑惑」

TikTokが世界に向けてリリースされたのは2017年9月13日。

  • スキルがなくても簡単に動画編集ができる
  • 15秒という短い時間のものを手軽に投稿できる
  • 撮影した動画に音楽を合わせられるので口パクでも投稿が可能
  • ショートビデオというこれまでにない投稿形式だった

以上の4つの要素から、TikTokは10代を中心に人気を集め、目覚ましい成長を遂げました。

しかしそんな中、「中国のスパイアプリなのではないか?」という疑惑が発生します。

米軍での利用が禁止に

2019年12月下旬、アメリカの海軍が支給されるモバイル端末でのTikTok使用を禁止したのをきっかけに、年明けにはアメリカの海兵隊や陸軍、空軍や沿岸警察などでTikTokの使用禁止が一気に広まりました。

TikTok使用禁止措置を取った際、アメリカ海軍は理由を明言せず、「セキュリティ上の脅威がある」という表明を残すのみに留まっていました。
そのため、その後もアメリカ国内でTikTokを利用しているユーザーは多く、日本でも禁止の風潮はありませんでした。

ちなみに、日本では、日本での運営を担うByteDance日本法人が経団連に加盟する、いくつかの地方自治体がコロナ禍の中若者に働きかけるためにTikTokと連携するということがありました。

インドにて使用禁止

6月にインド政府が「TikTok」や「Weibo」をはじめとする59の中華製アプリの使用禁止を表明。
インド政府は禁止の理由を明言しており、インド外のサーバにユーザーデーターが不正に送信されており、苦情が多数寄せられたことを説明しています。

その約1ヶ月後の7月、日本でも自民議連が「TikTokによる個人情報の流出があるのではないか。利用を制限すべき」と政府に提言し、8月に入る頃には連携を中断しています。

TikTokの買収

TikTokに関して、大きな動きがあったのが、7月末から8月にかけてです。

現地時間の7月31日、アメリカのトランプ大統領は、アメリカ全土でTikTokの使用を禁止する計画であることをメディアに向けて発表して大きな注目を集めたその2日後、MicrosoftがアメリカでTikTokを運営している会社の買収計画を発表。
トランプ大統領の発言前からMicrosoftは買収を計画していましたが、発言を受け、TikTokはアメリカでの禁止を回避するため、運営売却に同意しました。

トランプ大統領はMicrosoftの買収は容認しているものの、9月15日までに決定しなければ、国内での使用を禁止する意向を示しています。

90日以内に売却かスピンオフを強制

自体が深刻化したのが、Microsoftによる買収の発表から4日後の現地時間8月6日です。
トランプ大統領は、TikTokの運営元・ByteDanceと、コミュニケーションアプリ「WeChat」を運営する中国のTencentとの取引を45日以内に禁止する声明を発表。

さらに、14日には、ByteDanceに対して、90日以内にアメリカでのTikTok事業を売却かスピンオフすることを強制させる大統領令に署名をしています。

ByteDanceが政府を提訴

90以内の売却またはスピンオフを迫られたByteDanceは、政府によるTikTok使用禁止を避けるため、8月24日にアメリカの地裁に提訴しました。

「ユーザーデータを中国政府が利用している」という政府側の主張の根拠がないこと、事業ができなくなると1万人の雇用が排除されること、命令の正当性がないことなどをByteDanceは主張しています。

ただ提訴はしたものの、Microsoftだけでなく、OracleやTwitter、Walmartなどの企業が参加し、買収交渉は進められていました。

中国による新技術の輸出規制で交渉が困難に

しかし、企業が買収交渉が進む中、現地時間の8月28日、中国は新技術の輸出規制を発表。これによって、アメリカの企業による買収は難しくなってしまっています。

中国が輸出規制した新技術の中にはTikTokに使われている技術があるため、買収を行うには、中国当局のライセンスが必要です。

今、中国とアメリカの関係には緊張が高まっており、中国当局がライセンスを発行するのは難しいように思えます。なので、期日までには買収問題が収束しない可能性の方が高いかもしれませんね。

日本でTikTokは利用禁止になるのか

ここで気になるのが、日本でのTikTok利用。
一時期、自治体との連携が行われるくらいでしたが、不安の声が集まったことで連携を中断した自治体が出てきたこと、規制論が出たことによって、困惑したユーザーも多いでしょう。

とはいえ、未だ国内の利用者は多く、数々の著名人・芸能人が利用していますし、広告を就航している企業やプロモーションとして活用している企業も多いかと思います。
今の所は、規制への動きが見られないため、今まで通り活用していて問題ないでしょう。

ただ、今後の米中とのやりとりによっては、規制が入ってしまうことも十分考えられますので、TikTokを使ったプロモーションや広告出稿を検討しているのであれば、早めに始めることをおすすめします。

また、SNSマーケティングを考えているのであれば、TikTok以外の大手SNS(Twitter・Instagram・Facebookなど)の利用を検討しましょう。

SHERE!