サードパーティCookieの仕組みと規制される理由をわかりやすく解説!
2021年6月29日、Googleは「サードパーティCookie廃止」のスケジュールを変更することを発表しました。本記事では、そもそもサードパーティCookieとは何か、なぜ廃止されるに至ったのかなどを解説します。
INDEX
サードパーティCookieとはなにか
サードパーティCookieを正しく理解するには、まずCookieについて知る必要があります。
Cookieとはユーザー情報を一時的に保存する仕組みでありデータのこと
そもそもCookieとは、Webサイトに訪問したユーザーの情報を、ユーザーが閲覧に利用したブラウザに保存する仕組み、またはデータを指します。
ユーザーがWebサイトにアクセスすると、Webサーバがアクセスしている端末のブラウザにCookieを作成し、ログインIDやパスワード、メールアドレス、IPアドレスやサイトへの訪問数などのユーザー情報が保存されます。
Webサイトに2回目の訪問をする際は、端末のブラウザに作成されたCookieをWebサーバに送信します。
CookieがWebサーバに送信されることで、保存されたユーザー情報を活用してWebサイトを利用できるため、再度ログインをしなくてもWebサイトを利用したり、カートの中身や入力情報をそのまま保持したりできるようになります。
Cookieは2種類ある
Cookieには、ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの2種類があります。
ファーストパーティCookieとは、ユーザーが訪問しているWebサイトが利用しているWebサーバから作成されるCookieで、アクセスしたWebサイトの閲覧履歴やログイン情報、カート内の情報などを維持するために使用されます。
例えば、WebサイトAを訪問した際にWebサイトAが利用しているサーバから作成されるのがファーストパーティCookieに該当します。
一方、サードパーティCookieとは、ユーザーが訪問しているWebサイト以外のWebサーバから作成されるCookieで、主に広告配信用のWebサーバで作成されることが多く、インターネット広告の配信に活用されることが多いです。
例えば、WebサイトAを訪問した際にバナー広告Bがあった場合、バナー広告Bの配信サーバから作成されるのがサードパーティCookieになります。
サードパーティCookieの特徴
サードパーティCookieとファーストパーティCookieの大きな違いが、サイトを横断してユーザー情報を活用している点です。
ファーストパーティCookieの場合、Webサイトのサーバがドメインに紐づいたCookieを作成するので、Cookieの情報はユーザーが訪問しているWebサイト内のものに限ります。
しかし、サードパーティCookieはWebサイトのサーバとは別のサーバが作成するので、ドメインに紐づいておらず、複数のドメインにまたがってユーザーの情報を保存することができます。
サードパーティCookieの活用例
サードパーティCookieの代表的な活用例としては、リターゲティング広告が挙げられます。
リターゲティング広告とは、自社のサイトを訪問したことがあるユーザーにターゲットを絞ってアプローチする広告で、自社サイトを離脱したユーザーをサードパーティCookie似て判別し、離脱したユーザーがその後閲覧しているWebサイトの広告枠に自社の広告を表示させる仕組みとなっています。
例えば、WebサイトAを閲覧した後にWebサイトBを見たら、Webサイトのバナー広告枠にWebサイトAの商品が表示されていたなんて場合は、サードパーティCookieを活用したリターゲティング広告が表示されています。
サードパーティCookieが規制・廃止される理由
リターゲティング広告の例からも分かるように、サードパーティCookieはWebサイトを横断してユーザーの行動をトラッキングできます。
しかし、サードパーティCookieは
●ユーザーが知り得ない所で情報が使われてしまっている状態である
●サードパーティCookieの情報からユーザーを類推・判別することが可能である
などの問題があることから「プライバシー保護に影響するのでは」と批判的な見方が強まり、実際に規制が行われるようになりました。
海外・日本でのCookie規制の状況
欧米でのCookie規制
2018年ごろから欧米諸国でサードパーティCookieに対する批判が強まり、EU一般データ保護規則(GDPR)が施行され、サードパーティCookieの規制が行われ始めたのをきっかけに、2020年にはカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)が施行され、アメリカの一部でもサードパーティCookieの規制が始まりました。
すでに欧米では、Cookieを個人情報と定義して扱いには最新の注意を払う体制が整えられており、多くのWebサイトでCookieに関する同意を取得するためのバナーが設置されています。
日本のCookie規制はまだ始まっていない
日本では、リクルートが就活生のサイト閲覧情報や行動を分析して個人単位での内定辞退を算出して他の企業へ販売した「リクルートキャリア内定辞退率問題」をきっかけに、個人情報保護法の改正が行われました。
2022年に新しい個人情報保護法の全面施行が予定されているものの、日本では依然としてサードパーティCookieは個人情報にはならない「個人関連情報」の扱いになっています。
日本ではサードパーティCookieを活用できる状態であり、欧米のようにCookieに関する同意を取得するためのバナーを設置するなどの対策が進んでいる日本企業はごくわずかとなっていますし、サードパーティCookieを使ったリターゲティング広告はまだまだ活用されています。
GoogleのサードパーティCookie規制のスケジュール
今ブラウザ市場では、サードパーティCookieを廃止する動きが活発化しています。
すでにAppleはiPhoneやMacのデフォルトブラウザであるSafariにトラッキング防止機能であるIntelligent Tracking Prevention(ITP)を組み込み、複数のドメイン間で情報をやり取りできないよう対策を施しています。
2020年3月の時点ですでにAppleはサードパーティCookieを全面的にブロックしており、ファーストパーティCookieの制限にも動き出しています。
一方、Googleは2022年までにChromeでのサードパーティCookieを廃止することを発表していましたが、Cookieを規制するための計画を正しく進めるにはさらに時間が必要であることがわかってきたことから、2023年の中頃から2023年の後半の3ヶ月で段階的にサードパーティCookieを廃止するとスケジュールを変更しました。
【Googleが発表したスケジュール】
ステージ 1 ( 2022 年後半に開始 ):テストが完了し、Chrome で API がリリースされた後に、ステージ 1 の開始を発表します。ステージ 1 では、広告主やパブリッシャーが自社サービスに移行する時間を確保できます。このステージには 9 か月間を想定し、導入状況やフィードバックを慎重に確認した上で、ステージ 2 に移行する予定です。
ステージ2 (2023 年半ばに開始): 2023 年後半の 3 か月間で、Chrome はサードパーティ Cookie サポートを段階的に廃止します。
サードパーティCookieが廃止されるとどうなるか
サードパーティCookieが廃止されたところで、普通にWebサイトを利用する上では何ら影響はなく、Webサイトがスムーズに使えないこともありません。
ただ、Webマーケティングでは影響が見られると考えられています。
特に影響が大きいと予想されているのがアフィリエイトです。
アフィリエイト広告はサードパーティCookieを活用して成果を計測していたため、ブラウザでサードパーティCookieが廃止されると、正確な成果を出すのが難しくなるという懸念がされており、サードパーティCookieに頼らない計測方法を考える必要があると、言われています。
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サードパーティCookieの仕組みと規制される理由をわかりやすく解説!
2021年6月29日、Googleは「サードパーティCookie廃止」のスケジュールを変更することを発表しました。本記事では、そもそもサードパーティCookieとは何か、なぜ廃止されるに至ったのかなどを解説します。
INDEX
サードパーティCookieとはなにか
サードパーティCookieを正しく理解するには、まずCookieについて知る必要があります。
Cookieとはユーザー情報を一時的に保存する仕組みでありデータのこと
そもそもCookieとは、Webサイトに訪問したユーザーの情報を、ユーザーが閲覧に利用したブラウザに保存する仕組み、またはデータを指します。
ユーザーがWebサイトにアクセスすると、Webサーバがアクセスしている端末のブラウザにCookieを作成し、ログインIDやパスワード、メールアドレス、IPアドレスやサイトへの訪問数などのユーザー情報が保存されます。
Webサイトに2回目の訪問をする際は、端末のブラウザに作成されたCookieをWebサーバに送信します。
CookieがWebサーバに送信されることで、保存されたユーザー情報を活用してWebサイトを利用できるため、再度ログインをしなくてもWebサイトを利用したり、カートの中身や入力情報をそのまま保持したりできるようになります。
Cookieは2種類ある
Cookieには、ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの2種類があります。
ファーストパーティCookieとは、ユーザーが訪問しているWebサイトが利用しているWebサーバから作成されるCookieで、アクセスしたWebサイトの閲覧履歴やログイン情報、カート内の情報などを維持するために使用されます。
例えば、WebサイトAを訪問した際にWebサイトAが利用しているサーバから作成されるのがファーストパーティCookieに該当します。
一方、サードパーティCookieとは、ユーザーが訪問しているWebサイト以外のWebサーバから作成されるCookieで、主に広告配信用のWebサーバで作成されることが多く、インターネット広告の配信に活用されることが多いです。
例えば、WebサイトAを訪問した際にバナー広告Bがあった場合、バナー広告Bの配信サーバから作成されるのがサードパーティCookieになります。
サードパーティCookieの特徴
サードパーティCookieとファーストパーティCookieの大きな違いが、サイトを横断してユーザー情報を活用している点です。
ファーストパーティCookieの場合、Webサイトのサーバがドメインに紐づいたCookieを作成するので、Cookieの情報はユーザーが訪問しているWebサイト内のものに限ります。
しかし、サードパーティCookieはWebサイトのサーバとは別のサーバが作成するので、ドメインに紐づいておらず、複数のドメインにまたがってユーザーの情報を保存することができます。
サードパーティCookieの活用例
サードパーティCookieの代表的な活用例としては、リターゲティング広告が挙げられます。
リターゲティング広告とは、自社のサイトを訪問したことがあるユーザーにターゲットを絞ってアプローチする広告で、自社サイトを離脱したユーザーをサードパーティCookie似て判別し、離脱したユーザーがその後閲覧しているWebサイトの広告枠に自社の広告を表示させる仕組みとなっています。
例えば、WebサイトAを閲覧した後にWebサイトBを見たら、Webサイトのバナー広告枠にWebサイトAの商品が表示されていたなんて場合は、サードパーティCookieを活用したリターゲティング広告が表示されています。
サードパーティCookieが規制・廃止される理由
リターゲティング広告の例からも分かるように、サードパーティCookieはWebサイトを横断してユーザーの行動をトラッキングできます。
しかし、サードパーティCookieは
●ユーザーが知り得ない所で情報が使われてしまっている状態である
●サードパーティCookieの情報からユーザーを類推・判別することが可能である
などの問題があることから「プライバシー保護に影響するのでは」と批判的な見方が強まり、実際に規制が行われるようになりました。
海外・日本でのCookie規制の状況
欧米でのCookie規制
2018年ごろから欧米諸国でサードパーティCookieに対する批判が強まり、EU一般データ保護規則(GDPR)が施行され、サードパーティCookieの規制が行われ始めたのをきっかけに、2020年にはカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)が施行され、アメリカの一部でもサードパーティCookieの規制が始まりました。
すでに欧米では、Cookieを個人情報と定義して扱いには最新の注意を払う体制が整えられており、多くのWebサイトでCookieに関する同意を取得するためのバナーが設置されています。
日本のCookie規制はまだ始まっていない
日本では、リクルートが就活生のサイト閲覧情報や行動を分析して個人単位での内定辞退を算出して他の企業へ販売した「リクルートキャリア内定辞退率問題」をきっかけに、個人情報保護法の改正が行われました。
2022年に新しい個人情報保護法の全面施行が予定されているものの、日本では依然としてサードパーティCookieは個人情報にはならない「個人関連情報」の扱いになっています。
日本ではサードパーティCookieを活用できる状態であり、欧米のようにCookieに関する同意を取得するためのバナーを設置するなどの対策が進んでいる日本企業はごくわずかとなっていますし、サードパーティCookieを使ったリターゲティング広告はまだまだ活用されています。
GoogleのサードパーティCookie規制のスケジュール
今ブラウザ市場では、サードパーティCookieを廃止する動きが活発化しています。
すでにAppleはiPhoneやMacのデフォルトブラウザであるSafariにトラッキング防止機能であるIntelligent Tracking Prevention(ITP)を組み込み、複数のドメイン間で情報をやり取りできないよう対策を施しています。
2020年3月の時点ですでにAppleはサードパーティCookieを全面的にブロックしており、ファーストパーティCookieの制限にも動き出しています。
一方、Googleは2022年までにChromeでのサードパーティCookieを廃止することを発表していましたが、Cookieを規制するための計画を正しく進めるにはさらに時間が必要であることがわかってきたことから、2023年の中頃から2023年の後半の3ヶ月で段階的にサードパーティCookieを廃止するとスケジュールを変更しました。
【Googleが発表したスケジュール】
ステージ 1 ( 2022 年後半に開始 ):テストが完了し、Chrome で API がリリースされた後に、ステージ 1 の開始を発表します。ステージ 1 では、広告主やパブリッシャーが自社サービスに移行する時間を確保できます。このステージには 9 か月間を想定し、導入状況やフィードバックを慎重に確認した上で、ステージ 2 に移行する予定です。
ステージ2 (2023 年半ばに開始): 2023 年後半の 3 か月間で、Chrome はサードパーティ Cookie サポートを段階的に廃止します。
サードパーティCookieが廃止されるとどうなるか
サードパーティCookieが廃止されたところで、普通にWebサイトを利用する上では何ら影響はなく、Webサイトがスムーズに使えないこともありません。
ただ、Webマーケティングでは影響が見られると考えられています。
特に影響が大きいと予想されているのがアフィリエイトです。
アフィリエイト広告はサードパーティCookieを活用して成果を計測していたため、ブラウザでサードパーティCookieが廃止されると、正確な成果を出すのが難しくなるという懸念がされており、サードパーティCookieに頼らない計測方法を考える必要があると、言われています。