みずほで今年5度目の障害、その原因と民間企業が学べること

セルリア編集部 2021.08.20

2021年8月19日から20日にかけて、みずほ銀行でシステム障害が発生し、店舗の窓口で入出金や振り込みなどの取引が行えないトラブルが発生しました。
20日正午にシステムは復旧し現在は通常通り業務が行われていますが、一体原因は何なのか、なぜシステム障害によるトラブルが多発しているのか考察します。

8月19日から20日にかけてのシステム障害の原因は?

みずほ銀行と信託業務と銀行業務の両方を行っているみずほ信託銀行にて、システム障害が発生したのは19日の午後9時ごろです。
システム障害によって、全国にあるみずほ銀行の463店舗とみずほ信託銀行の60店舗で、窓口での振り込み・入出金等の処理ができなくなりました。

幸い、障害によって影響を受けたのは窓口の機器のみで、現金自動受払機(ATM)には影響がなく、復旧するまでは窓口ではATMの利用が呼びかけられました。

20日午後5時に行われたみずほ銀行の記者会見によれば、システム障害の原因は「店頭での取引を行う機器が故障」とのことで、19日の深夜にトラブルの対処に当たりましたが、20日の開店には間に合わなかったとみずほフィナンシャルグループの代表より説明されています。

また、故障したのはみずほ本店のシステムの基幹部分(ミノリ)と営業店舗の事務処理端末を繋いでいるシステムであるDBサーバのディスク装置で、2021年3月3日に同行で起こったダイレクト障害に引き続いた機器の故障であることが明言されています。


引用:【LIVE】 みずほ銀行 またシステム障害 トップら会見(2021年8月20日)-TBS NEWS [Y
outube公式チャンネル]

バックアップサーバも機能せず

金融にかかわらず重要なデータを扱うシステムにはバックアップサーバがあるが、今回のシステム障害では通常であれば機能するはずのバックアップサーバが機能せず、復旧に時間を要してしまいました。

開店から1時間以内には概ね復旧ができたものの、一部のシステムが復旧できなかったことからサポートサーバの再起動をかけ、正午近くに全面的にシステムが復旧しました。

バックアップサーバにが機能しなかった原因はいまも調査中です。

20201年8月26日追記:
続報によると、みずほには2つのディスク装置があり1つが故障すると、予備装置に切り替わる仕組みになっていましたがうまくできなかった上に、同拠点内にあるサーバへの切り替えにも失敗。
さらに、千葉県にある災害時に使用するサーバを使用して復旧作業を行ったことが発表されています。

対応を行うも相次ぐ障害で行政処分の恐れも

障害の発生を受け、みずほ銀行は復旧作業に取り組むだけでなく、朝早い時間からコールセンターや窓口に行員を派遣したり、SNS・Webサイトを活用しシステム障害を広く告知したりと、できる限りの対応を行ったと述べています。

ただ、今年に入ってから5度目のシステム障害となってしまったことで、金融庁は行政処分の検討も進めています。

顧客情報や金銭等を扱う企業が今回のことで学ぶこと

みずほ銀行・みずほ信託銀行で起こった今回のシステム障害から学べることとすれば、やはり「バックアップ体制を万全にする」ということではないでしょうか。

システムの故障が起こった際に通常通りの動きができるよう、バックアップの体制を整えておくことは基本中の基本です。
しかし、みずほではバックアップ体制がうまく機能しなかったことから、何度もシステム障害を起こしています。

今、企業にできることは、障害が起こったときに対処できる体制になっているかしっかり見直すことも重要でしょう。

情報の拡散にも課題

バックアップ体制の完備とは別に課題ではないかと思えるのが、情報の拡散です。

先に述べたようにみずほ銀行は、SNS・Webサイトを活用しシステムの障害が起きていることを告知しています。
SNSが企業に活用されることが多くなった今、これは適切な対応であるとも言えます。

ただ、会見でもあったように窓口を利用するユーザーの中にはSNSを利用していない高齢者もいます。
もちろん、ネットを利用していないユーザーに向けてNHKニュースで速報を出すなどの対応はしていましたが、やはり情報の拡散に遅れを感じるように思えます。
トラブルが起こった時、いかに早く情報を届けるかも企業は考えなくてはならないと思います。

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みずほで今年5度目の障害、その原因と民間企業が学べること

                           
セルリア編集部 2021.08.20

2021年8月19日から20日にかけて、みずほ銀行でシステム障害が発生し、店舗の窓口で入出金や振り込みなどの取引が行えないトラブルが発生しました。
20日正午にシステムは復旧し現在は通常通り業務が行われていますが、一体原因は何なのか、なぜシステム障害によるトラブルが多発しているのか考察します。

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8月19日から20日にかけてのシステム障害の原因は?

みずほ銀行と信託業務と銀行業務の両方を行っているみずほ信託銀行にて、システム障害が発生したのは19日の午後9時ごろです。
システム障害によって、全国にあるみずほ銀行の463店舗とみずほ信託銀行の60店舗で、窓口での振り込み・入出金等の処理ができなくなりました。

幸い、障害によって影響を受けたのは窓口の機器のみで、現金自動受払機(ATM)には影響がなく、復旧するまでは窓口ではATMの利用が呼びかけられました。

20日午後5時に行われたみずほ銀行の記者会見によれば、システム障害の原因は「店頭での取引を行う機器が故障」とのことで、19日の深夜にトラブルの対処に当たりましたが、20日の開店には間に合わなかったとみずほフィナンシャルグループの代表より説明されています。

また、故障したのはみずほ本店のシステムの基幹部分(ミノリ)と営業店舗の事務処理端末を繋いでいるシステムであるDBサーバのディスク装置で、2021年3月3日に同行で起こったダイレクト障害に引き続いた機器の故障であることが明言されています。


引用:【LIVE】 みずほ銀行 またシステム障害 トップら会見(2021年8月20日)-TBS NEWS [Y
outube公式チャンネル]

バックアップサーバも機能せず

金融にかかわらず重要なデータを扱うシステムにはバックアップサーバがあるが、今回のシステム障害では通常であれば機能するはずのバックアップサーバが機能せず、復旧に時間を要してしまいました。

開店から1時間以内には概ね復旧ができたものの、一部のシステムが復旧できなかったことからサポートサーバの再起動をかけ、正午近くに全面的にシステムが復旧しました。

バックアップサーバにが機能しなかった原因はいまも調査中です。

20201年8月26日追記:
続報によると、みずほには2つのディスク装置があり1つが故障すると、予備装置に切り替わる仕組みになっていましたがうまくできなかった上に、同拠点内にあるサーバへの切り替えにも失敗。
さらに、千葉県にある災害時に使用するサーバを使用して復旧作業を行ったことが発表されています。

対応を行うも相次ぐ障害で行政処分の恐れも

障害の発生を受け、みずほ銀行は復旧作業に取り組むだけでなく、朝早い時間からコールセンターや窓口に行員を派遣したり、SNS・Webサイトを活用しシステム障害を広く告知したりと、できる限りの対応を行ったと述べています。

ただ、今年に入ってから5度目のシステム障害となってしまったことで、金融庁は行政処分の検討も進めています。

顧客情報や金銭等を扱う企業が今回のことで学ぶこと

みずほ銀行・みずほ信託銀行で起こった今回のシステム障害から学べることとすれば、やはり「バックアップ体制を万全にする」ということではないでしょうか。

システムの故障が起こった際に通常通りの動きができるよう、バックアップの体制を整えておくことは基本中の基本です。
しかし、みずほではバックアップ体制がうまく機能しなかったことから、何度もシステム障害を起こしています。

今、企業にできることは、障害が起こったときに対処できる体制になっているかしっかり見直すことも重要でしょう。

情報の拡散にも課題

バックアップ体制の完備とは別に課題ではないかと思えるのが、情報の拡散です。

先に述べたようにみずほ銀行は、SNS・Webサイトを活用しシステムの障害が起きていることを告知しています。
SNSが企業に活用されることが多くなった今、これは適切な対応であるとも言えます。

ただ、会見でもあったように窓口を利用するユーザーの中にはSNSを利用していない高齢者もいます。
もちろん、ネットを利用していないユーザーに向けてNHKニュースで速報を出すなどの対応はしていましたが、やはり情報の拡散に遅れを感じるように思えます。
トラブルが起こった時、いかに早く情報を届けるかも企業は考えなくてはならないと思います。

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