【新型コロナウイルス】企業の広告費についての調査、新たな広告手段を模索
株式会社Grillは新型コロナウイルスの影響を受け、2020年4月の広告宣伝費がどのように変化したのかを企業のマーケティング・広告・広報担当者に向けて調査しました。 63%の企業で広告宣伝費の削減傾向が見られる中、費用対効果が高い新たな手法を模索する企業も出てきています。
DISITOR編集部
この記事の目次
不要不急の外出を控えるよう呼びかけられていた自粛期間中、おうちで過ごす時間が増えた人のために、色々な人が様々な動画をYouTubeにアップしていたように思えます。
例えば、リリースした楽曲を配信する歌手もいれば、コンサート動画をアップするアイドルもいましたし、自分の得意なことを生かしてYouTubeチャンネルを開設した芸人や俳優もいました。
普段よりYouTubeを見る機会が多かったなんて人もいるのではないでしょうか。
そんな嬉しい投稿もあった中、YouTubeではコンプレックスを刺激するような広告や詐欺まがいの広告が横行し、一時”無法地帯”となる問題が発生しました。
今回の深掘りニュースでは、なぜYouTube広告が無法地帯となったのか、広告を出稿する企業にはどんな姿勢が求められるのかなどについて考察していきます。
YouTube広告がなぜ、無法地帯となったのか。
それを考えるためには、まず「いつから低品質な広告が目立つようになったのか」から考えてみましょう。
なんとなくですが、私自身YouTubeを見ていて、ダイエットやムダ毛などのコンプレックを刺激する広告が多くなったように感じたのは、3月〜4月ごろからではないかと思っています。
しかし、これだけでは明確な根拠にはなりませんので、ちょっとデータを用いて検証してみようかと思います。
皆さんは「Googleトレンド」というツールをご存知でしょうか?
Googleトレンドとは、気になる単語がGoogleでどれだけ検索されているかをグラフでチェックできるツールです。
このツールで、YouTubeの悪質な広告に関する検索キーワードを調査すれば、ある程度多くなり始めた時期を割り出せるのではないかと仮説を立てました。
そこで、まずは
①YouTube広告に関する検索キーワードを洗い出す
②悪質な広告に関するキーワードをGoogleトレンドで調査してみる
ということをやっていきます。
検索キーワードを洗い出すのには、2つのツールを使用します。
1つ目がキーワードリサーチツール「ラッコキーワード」です。
このツールでは、Google・Bing・Youtubeのサジェストキーワードを一括で取得できます。
もう1つがGoogle広告ツールの「キーワードプランナー」です。
キーワードプランナーはGoogle広告を利用しているのであれば、誰でも使用できるツールです。キーワードの月間検索回数を調査することができます。
この2つを使用して、YouTube広告に何かしらの興味を持っている人が使用したキーワードの一覧がこちらです。
この中でも、より多くの人が検索しているビッグキーワード(検索回数が1000回以上のもの)と、複数のキーワードを組み合わせており、かつ一定の検索数があるミドルキーワードの中でも上位のものの一覧がこちらです。
検索キーワード | 月間検索回数 |
youtube 広告 | 22200 |
youtube 広告 収入 | 14800 |
youtube 広告 ブロック | 9900 |
youtube 広告 なし | 6600 |
youtube 広告 消す | 6600 |
youtube 広告 うざい | 4400 |
youtube 広告 不快 | 2400 |
youtube 広告 収入 条件 | 1900 |
youtube 広告 付け方 | 1600 |
youtube 広告 条件 | 1600 |
youtube 広告 漫画 | 1600 |
youtube 広告 種類 | 1600 |
youtube 広告 設定 | 1600 |
youtube 広告 費用 | 1600 |
youtube 広告 ゲーム | 1300 |
youtube 広告 一覧 | 1300 |
youtube 広告 非 表示 | 1300 |
youtube 広告 スキップ | 1000 |
youtube 広告 出し 方 | 1000 |
youtube 広告 料金 | 1000 |
youtube 広告 ダイエット | 880 |
youtube 広告 単価 | 880 |
youtube 広告 多 すぎ | 880 |
youtube 広告 消す スマホ | 880 |
youtube 広告 スキップ できない | 720 |
youtube 広告 増え た | 720 |
youtube 広告 アプリ | 590 |
youtube 広告 スキップ 収入 | 590 |
youtube 広告 ブロック chrome | 590 |
youtube 広告 削除 | 590 |
youtube 広告 消し方 | 590 |
youtube 広告 消す android | 590 |
youtube 広告 消す iphone | 590 |
youtube 広告 詐欺 | 590 |
先ほど抽出した中でも特に、低品質なYouTube広告に関連するであろうキーワードのトレンド
●youtube 広告 漫画
●youtube 広告 ダイエット
●youtube 広告 詐欺
について調べてみましょう。
「youtube 広告 ダイエット」もう言わずもがなコンプレックス広告に関するキーワードですし、「youtube 広告 詐欺」は詐欺まがいな広告について調べているキーワードです。
また、「youtube 広告 漫画」は、ダイエットや脱毛などのコンプレックス広告が漫画仕立てだったのが多かったので、調査項目に含めました。
この3つのキーワードのトレンド調査は以下のようになりました。
青いグラフが「youtube 広告 漫画」、赤が「youtube 広告 ダイエット」、黄色が「youtube 広告 詐欺」です。
ここで特に注目したいのが、赤い「youtube 広告 ダイエット」のグラフ。
以前から検索回数は一定数ありましたが2月の3連休を境に増え続け、、4月末から5月にかけて爆発的に増えていることが分かります。
おそらくこの時期の前後に、ダイエットに関する広告が増え始めたのではないでしょうか。
また、詐欺に関する広告は、「youtube 広告 ダイエット」が爆発的に増えた4月末を境に、増加傾向となっていることが分かります。
2月から4月、5月にかけてあった大きな出来事といえば、やはり「新型コロナウイルス」ではないでしょうか。
新型コロナウイルスによる感染症が広まったことで、私たちの生活は一変しましたよね。
では、新型コロナウイルスとYouTube広告にどんな関係があったのか、考えていきたいと思います。
新型コロナウイルスの感染者が世界的に増え始めたのがだいたい3月中旬ごろ。
これはGoogleで「新型コロナウイルス 感染者」と検索すると、グラフが表示されます。
それに伴い、日本でも3月末ごろから感染者が徐々に増え始めます。
このあたりから自治体が企業に短縮営業などを要請したり、営業自粛を促す動きが強くなりました。
これは、Googleトレンドの「営業自粛」というキーワードからも伺えます。
また、4月16日には緊急事態宣言が発表され、リモートワークやステイホームが促されました。
これによって買い物に出かけたり、旅行をしたりする人が少なくなり、経済活動は縮小。
そのため、企業が得られる利益も、例年の同時期と比べると圧倒的に少なくなりました。
すると、企業の多くは当然ですが「コストカット」をして損失を少なくしなければなりません。
そこで多くの企業が取り組んだのが、広告費の削減でした。
実際にこれは調査も行われており、株式会社Grillが新型コロナウイルスの影響を受け、2020年4月の広告宣伝費がどのように変化したのかを企業のマーケティング・広告・広報担当者に向けて調査したところ、63%の企業で広告宣伝費の削減傾向が見られた、という報告も上がっています。
この調査に関しては以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
【新型コロナウイルス】企業の広告費についての調査、新たな広告手段を模索
株式会社Grillは新型コロナウイルスの影響を受け、2020年4月の広告宣伝費がどのように変化したのかを企業のマーケティング・広告・広報担当者に向けて調査しました。 63%の企業で広告宣伝費の削減傾向が見られる中、費用対効果が高い新たな手法を模索する企業も出てきています。
YouTubeでは、オークション形式で広告を表示させています。
広告を配信するタイミングで上限金額が比較され、入札価格が最も高い企業の広告が表示されるようになっています。
しかし、各企業が企業が広告費をカットした結果、入札する企業が減少し、競う相手がいなくなったことで、低品質な広告が表示されやすくなったことが考えられます。
YouTubeで出稿される広告では必ず審査が行われ、審査によって不適切と判断された広告は、表示されない仕組みになっています。
しかし、低品質な広告を弾いてしまうと、広告出稿による収益をあげるのが難しくなったため、コンプレックスを刺激するような広告や詐欺まがいの広告でも通りやすくなってしまったのではないでしょうか。
あまりにもYouTubeに低品質な広告が多くなってしまったことで、YouTubeには多くの批判が寄せられました。
それだけではなく、コンプレックスを刺激するような広告をやめるよう、署名活動も行われました。
Googleは寄せられた批判に対し明確な回答は行なっていないものの、ウェブ広告に関するガイドラインに動画広告に関する基準を追加するという措置を取っています。
また、現在では、広告を出稿する企業が戻りつつあることから、低品質な広告は減少傾向にあります。
低品質な広告は人を不快にさせるだけではありません。
今回のYouTube広告の騒動で、特定商取引法に違反しているような企業に大きな収益が入ってしまいました。
つまり、低品質な広告がはびこるということは、正しい誠実な企業ではなく、よくない企業にお金が入ってしまうことにつながります。
また、広告の質というのは、将来の幸福、健康、経済的安定、人々の安全に潜在的な影響を与えます。
ですので、企業は健全な広告を作らなければならなりませんし、広告で収益をあげるプラットホームは、その質を厳格に判断する必要があります。
今回、新型コロナウイルスの影響で明るみに出た低品質広告問題は、それを裏付ける事例となったのではないでしょうか。