IT業界への就職を目指している大学生の中には、「就職に役立つIT資格を取っておきたい」と思っている大学生もいるのではないでしょうか。
IT資格の取得があれば、IT業界で働くことの意欲の高さをアピールできますし、資格があることで、他の応募者と差をつけられる場合もあります。
また、何より資格の取得を通じてITの知識を身に付けられるという大きなメリットがあります。
ただ、IT資格といっても色々なタイプの資格があるため、計画性もなく資格を取得すると、せっかく取った資格が役に立たなかったり、結局使わなかったなんてことになってしまいます。
時間を有効的に使うためにも、やみくもに資格を取るのではなく、将来どんな資格が大切でどう使っていくのかを考えることが大切ですので、ここででは、ITに興味がある大学生にぴったりな資格の選び方とおすすめの資格をご紹介します。
この記事の目次
IT業界への就職を目指している大学生の資格選び
IT資格は、経済産業省・文部科学省・総務省が認定している国家資格と、マイクロソフト社やシスコなどのIT企業が認定している民間資格(ベンダー資格)の2つに分けられます。
他の業界であれば、まず国家資格を取ってその後で民間資格を取っていくのが一般的な流れですが、IT業界の場合は国家資格を持っていないくても職につけることができるので、好きなように資格を取れます。
ただ、手当たり次第とってもあまり意味がないので、ここでは大学生におすすめの資格の選び方を解説します。
進路が定まっていない場合は基本的なIT知識をつける
IT業界で働きたいと思っていても細かく職種まで決まっている学生もいれば、候補の1つとしてIT業界を検討しているだけの学生もいるでしょう。
職種がまだ定まっていない場合やIT業界への就職を強く希望していない場合は、まず基本的なIT知識が付けられる資格がおすすめです。
進路が決まらないうちに専門的な資格を取ってしまうと、取得した資格や知識が役に立たなかったり、全く別の資格が後から必要になったりする場合があります。
はっきりとした進路が未定な場合は、まず基本的なIT知識がつけられる資格の取得をおすすめします。
IT業界でどのように働きたいかで資格を選ぶ
すでに進路が決まっている場合や基本的なIT知識が付けられる資格を取得している場合は、「IT業界でどのように働きたいか」を考え、それに応じた資格を取得しましょう。
IT資格には基本的なIT知識があることを証明する資格もあれば、情報処理に関する知識があることも証明する資格もあり、どのような企業でどんな職種に就くかによって有利になる資格は全く異なります。
IT業界の職種は大きく分けると2種類
IT業界の職種は大きく分けると、ITエンジニアと非ITエンジニアに分けられます。
ITエンジニアは、情報技術の技術者のことで、わかりやすくいえばWebサイトを制作するWebエンジニアやシステムの構築・運用を行うシステムエンジニア(SE)が挙げられます。
他にも、ネットワークエンジニアやサーバーエンジニアもITエンジニアの1種です。
ITエンジニアに対して非ITエンジニアは、技術者以外の職種を総称しているもので、代表的な職種にはWebディレクターやWebデザイナー、Webライターなどが挙げられます。
本記事の後半では、ITエンジニアを目指している大学生・非ITエンジニアを目指している大学生に分けて資格を紹介しています。
IT業界に興味があるならまずは【ITパスポート】を取得
「職種がまだ決まっていない」「まずはITについての知識を身に付けたい」と考えている大学生にはITパスポートが適しています。
ITパスポートは経済産業省が認定しているITの国家資格の1つで、まさにIT入門編ともいえる資格となっており、数あるIT資格の中でも、ITの基本的な知識をつけるのに最もおすすめの資格です。
業務経験がなくても取得可能な初心者向けの資格ですので、文理問わず大学生でも十分取ることができます。
試験内容は、経営に関する問題をまとめた「ストラテジ系」とITの管理に関する問題をまとめた「マネジメント系」、IT技術に関する問題をまとめた「テクノロジ系」の3分野から構成されており、試験勉強を通じてITの知識からセキュリティ、コンプライアンス、経営戦略に関することまで幅広い知識を付けられます。
ITパスポートは企業や省庁の採用にも活用されており、資格の有無や合格時のスコアが採用の基準になっていることもあります。
▷ITパスポート(iパス)の公式ページはこちら
ITエンジニアを目指している大学生におすすめの資格
ITエンジニアとしてキャリアを積むことを考えているのであれば、ITエンジニア向けの資格取得を目指しましょう。
ITエンジニア向けの資格といってもエンジニアの職務内容や難易度によって資格の種類は様々ですので、ここでは基本的な資格とエンジニアごとのおすすめ資格をご紹介します。
ITパスポートからのレベルアップには【情報セキュリティマネジメント】がおすすめ
情報セキュリティマネジメントは、企業がITを利用する際に欠かせないセキュリティについての知識を身に付けられるIT国家資格です。
位置付けとしてはITパスポートを取得した人のスキルアップ役立つ資格で、ITパスポートに比べる難易度は少し高くなりますが、大学生でも合格は可能です。
試験内容は、情報セキュリティに関する問題が多く、サイバーセキュリティ基本法や不正アクセス禁止法などの法的知識の他、サイバー攻撃手法や不正アクセス対策、情報漏えい対策など実務的な内容も問われます。
大学によっては取得が推奨されている資格でもあるので、ITパスポートに合格した後に挑戦してみるのも良いでしょう。
▷情報セキュリティマネジメント(SG)の公式ページはこちら
どのエンジニアにも活用できる【基本情報技術者】
基本情報技術者もITパスポートと情報セキュリティマネジメントと同じくITの国家資格です。
ただ、ITパスポートと情報セキュリティマネジメントの場合は「ITを利用する者」が対象ですが、基本情報技術者は「情報技術者」が対象になっています。
ITエンジニアとしてのキャリアをスタートしたいと考えている人が多く受験している傾向があり、難易度も少しだけ高いのが特徴です。
試験内容は、システムや開発技術の問題であるテクノロジ系・マネージメントについてのマネジメント系・経営の戦略や法務の問題であるストラテジ系の3つに分かれています。
また、基本情報技術者の特徴として午前と午後の1日かけて試験が行われますが、午後の試験でソフトウェア開発に関する問題が問われます。
プログラミングの知識や表計算の知識が必要になるので、しっかり計画を立てて学習を進めることが大切です。
▷基本情報技術者試験(FE)の公式ページはこちら
Webエンジニア志望の大学生には【ウェブデザイン技能検定】
Webサイトを制作する「Webエンジニア」としてキャリアアップしたいなら、基本情報技術者試験の合格後は、ウェブデザイン技能検定がおすすめです。
ウェブデザイン技能検定は、厚生労働省より指定を受けた特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会が実施している国家検定です。
合格するとウェブデザイン技能士の合格証が発行されます。
1級・2級・3級と級が分かれていますが、1級と2級は受験資格が厳しく実務経験が必要ですので、大学生が受験する場合は3級からとなります。
試験は学科と実技に分かれており、学科の試験ではHTMLやCSSの基本的な知識やWeb制作における重要事項が問われ、実技ではHTMLやCSSを使った簡単なプログラミング試験となっています。
▷ウェブデザイン技能検定の公式ページはこちら
それ以外のエンジニアになりたい大学生には【応用情報技術者】
Webエンジニアではなく、システムエンジニア(SE)やネットワーク周りの構築に特化したネットワークエンジニアやサーバを構築・運用するサーバエンジニアなどを目指している場合は、国家資格である応用情報技術者の取得がおすすめです。
応用情報技術者は、基本情報技術者の応用的な国家資格で「基本情報技術者を取得した」という学生や「もう少し実践的・応用的な知識を身に付けたい」と考えてる学生向けの資格です。
試験の分野は基本情報技術者試験と同じくテクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系となっていますが、応用的なことが問われるため試験の内容は難しくなっています。
▷応用情報技術者試験(AP)の公式ページはこちら
非エンジニアを目指している大学生におすすめの資格
エンジニアではなくWebデザイナーやWebディレクターを目指している場合は、まずITパスポートを取得してから各業務に役立つ資格を取得するのが良いでしょう。
Webデザイナー志望におすすめなのが【HTML5プロフェッショナル認定試験】
Webデザインを制作するWebデザイナーにおすすめなのが、特定非営利活動法人エルピーアイジャパンが実施しているHTML5プロフェッショナル認定試験です。
試験の内容はHTML5をはじめ、CSSやレスポンシブWebデザインに関する問題、APIの基礎知識などとなっており、試験の学習を通じてWeb制作に欠かせない基本的な内容が身に付けられます。
試験はレベル1とレベル2に分かれており、レベル2はデザイナーだけでなくWebエンジニアにも適した試験となっています。
▷HTML5プロフェッショナル認定試験の公式ページはこちら
Webライターになりたい大学生には【WEBライティング技能検定】
Webライター向けの資格はいくつかありますが、その中でもおすすめなのが一般社団法人 日本クラウドソーシング検定協会が実施している「WEBライティング技能検定」です。
経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室の資料にも掲載されています。
試験内容の大部分を占めているのが実技ライティング問題で、日本語が正しく使われている文章かどうかや違和感がない文章かどうかなどが試験では重要視されています。
WEBライティング技能検定で身に付けた資格は、Webライターの実務だけでなく、大学在学中のライティングにも活用できるので勉強して損はないでしょう。
▷WEBライティング技能検定の公式ページはこちら
Webディレクター志望には【Web検定 Webディレクション】
「Web検定 Webディレクション」は株式会社ボーンデジタルがおこなっている検定で、プロジェクトを成功に持っていくためのスキルや制作の工程管理、現状分析など実践的なディレクション知識を身に付けられる検定となっています。
可視化しにくいディレクションスキルや知識をアピールするのに便利な資格です。
学習用のテキストが発売されている他、YouTubeでも講座が行われているので、大学生でも学習が進めやすいのが特徴です。
▷Web検定 Webディレクションの公式ページはこちら
コンサルタントを目指しているなら【ITコーディネータ】
ITコンサルタントなどを目指している場合は、経済産業省が推進している資格「ITコーディネータ」がおすすめです。
ITコーディネータはIT資格の中でもより経営者視点が必要な資格となっており、試験はIT経営やIT戦略に関する問題が多くなっています。
▷ITコーディネータの公式ページはこちら
専門的で難易度の高い資格は就職してからでも遅くない
就職活動に生かそうとするあまり、専門性の高い資格や難易度の高い資格を受験しようとする大学生もいますが、IT資格の中には実務経験が必要なものも多いため、専門的で難易度の高い資格は就職してから受験しても遅くはありません。
大学生の間は基本的なIT知識や実務に役立つ基礎知識を身に付けることを優先しましょう。
まとめ
IT資格を受験する際は、就きたい職種に合わせて資格を選んで受験することが大切。
進路が決まっていない、とりあえずIT業界に興味があるという場合は、まずITパスポートの受験をおすすめします。
職種や進路が決まったらそれに合わせて知識が身に付けられる資格を受験しましょう。