バリュープロポジションとは、日本語で「顧客価値」という意味で、顧客が商品・サービスの購入を決めた時、企業が顧客に提供すると示した価値のことです。言いかえると顧客が商品・サービスを購入する決め手となった理由のことです。
バリュープロポジションを作成する際は、顧客のニーズを満たすものであり、自社で提供することができるもの、さらに他社は提供することができないものを探すことが重要です。また、顧客の視点に立って、自社の商品・サービスを見つめ直すことが必要となります。
バリュープロポジションの作成が重要視される理由として、以下の2つが挙げられます。
①企業が顧客視点に立つことができる
企業と顧客の視点は異なるため、作り手として商品・サービスの開発を進めてしまうと、ユ顧客のニーズとすれ違いが起きてしまう可能性があります。バリュープロポジションを作成することで、作り手である企業が顧客視点に立つことができます。これにより、独りよがりな商品開発やマーケティング活動など、企業と顧客のすれ違いを防ぐことができます。
②他社の商品・サービスと差別化を図るため
近年、商品・サービスの数は増加傾向にあり、競合も激化しています。そのため、商品・サービスの差別化を図り、顧客に製品価値を認識してもらう必要があります。
効果的なバリュープロポジションの条件
効果的なバリュープロポジションを作成するためには、以下の3つの要素を意識することが重要です。
①顧客が抱えている課題を解決する
顧客に商品・サービスを購入してもらうためには、商品・サービスを利用することで、顧客が抱えている課題について、解決または改善できることを明確に示すことが重要となります。
②商品・サービスを購入するメリットがある
より良いバリュープロポジションを作成するためには、商品・サービスを購入するメリットを明確化し、顧客に提示する必要があります。例えば、業務の効率化やコスト削減などが挙げられます。
③競合製品との差異が明確
競合他社の商品・サービスとの違いを明確化することも重要です。自社の製品が他社の製品に比べ、特に優れている点を把握し、わかりやすく伝えましょう。
バリュープロポジションの作成方法
バリュープロポジションを作成するためには、主に2つのステップを踏みます。
①必要な情報を整理し、競合優位性を把握する
バリュープロポジションを作成するためには、顧客のニーズを正確に把握し、競合優位性を整理しておくことが重要となります。3C分析やSWOT分析、STP分析などを活用し、情報を整理することで、競合優位性を分析・把握することができます。
②ターゲットと製品価値を掛け合わせる
ターゲットの属性や行動傾向を踏まえ、自社の商品・サービスが持つ提供価値を洗い出し、顧客のニーズと照らし合わせます。ターゲットを考える際は、ペルソナを設定しておくと、属性や行動傾向をより具体的に想像することができます。
バリュープロポジションを作成するポイント
より良いバリュープロポジションを作成するためには、以下の5つのポイントを意識することが重要となります。
①抽象的な表現は避ける
「最高」「高品質」「美味しい」など、抽象的な表現は避けましょう。具体的なバリュープロポジションを設定することで、製品価値をわかりやすく伝えることができるだけでなく、生産性の向上も期待することができます。
②専門用語を使わない
専門用語や業界用語、技術的な用語など、限られた人にしか伝わらない言葉を用いることは望ましくありません。誰にでもわかるような表現を用いることが重要です。
③わかりやすく、短い言葉で書く
誰にでもわかりやすいバリュープロポジションにするため、短い言葉を用いて、シンプルな表現にすることが大切です。「3秒で理解できる」バリュープロポジションを目指しましょう。
④自社だけが提供することができる製品価値を示す
自社だけが提供することができる製品価値を示し、競合製品との差別化を図ることで、競合優位性を高めることができます。
⑤顧客視点に立つ
顧客の視点に立ち、顧客のニーズを正確に把握することで、より効果的なバリュープロポジションを作成することができます。作り手として商品開発を進めてしまうと、独りよがりになってしまう可能性があります。
「バリュープロポジション」を調べた人はこの用語も調べています
「バリュープロポジションを作成しよう」
バリュープロポジションを作成することで、顧客視点に立って商品開発をおこなったり、競合製品と差別化を図ったりすることができます。v
「よいバリュープロポジションを作成するためには、競合製品との違いを明確化することが大切だ」
効果的なバリュープロポジションを作成するためには、競合製品との違いを明確に把握し、顧客にわかりやすく伝えることが重要です。
「このバリュープロポジションは少し抽象的だから書き直そう」
バリュープロポジションを作成する際は、誰にでもわかりやすい表現にすることが大切です。そのため、抽象的な表現や専門的な用語は避けた方がよいでしょう。
「バリュープロポジションキャンバスを描こう」
バリュープロポジションキャンバスを描くことで、自社の商品・サービスの提供価値と顧客のニーズの間にズレが生じることを防ぐことができます。
バリュープロポジションキャンバスとは
バリュープロポジションキャンバスとは、自社の商品・サービスと顧客のニーズのズレを解消するためのフレームワークのことです。顧客への提供価値(バリュープロポジション)と顧客セグメントを描くことで、両者の関係性を可視化することができます。
バリュープロポジションキャンバスを活用することで、顧客のニーズとズレが生じている点を把握し、商品・サービスの開発や改善に役立てることができます。
バリュープロポジションキャンバスの活用方法
以下の4つのステップを踏むことで、バリュープロポジションキャンバスを活用することができます。
①バリュープロポジションと顧客セグメントを描く
自社の商品・サービスが顧客に提供する価値(バリュープロポジション)と、顧客セグメントを描き、「誰に」「どんな価値を提供するのか」という2点を明確化します。
②顧客セグメントを分析する
顧客のニーズを正確に把握するため、顧客視点に立って分析をおこないます。
「Customer Job(顧客が抱える課題)」「Gains(顧客の利益)」「Pains(顧客のリスク)」の3つの項目を埋めていきます。
③バリュープロポジションを分析する
顧客のニーズを満たし、顧客が抱える課題を解決するため、バリュープロポジションを分析します。
「Products & Services(商品・サービス)」「Gain Creators(顧客の利益を生み出すもの)」「Pain Relivers(顧客のリスクを取り除くもの)」の3つの項目を埋め、顧客ニーズとズレが生じている点を把握します。
④バリュープロポジションと顧客のニーズを比較する
バリュープロポジションと顧客セグメントの2つの図を確認することで、顧客のニーズを満たす商品開発に役立てることができます。また、バリュープロポジションと顧客ニーズが一致していない点を可視化することで、改善点を把握することができます。
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