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更新:2019年12月23日

ばりゅーちぇーんぶんせき

バリューチェーン分析

企業活動の過程で生み出される価値や、競合他社に対する優位性を把握する分析手法

別名
英字

POINTバリューチェーン分析とは

バリューチェーンとは、原材料の調達から商品・サービスが顧客に届くまでに企業がおこなう活動の連鎖(チェーン)を、モノの供給(サプライ)の連鎖に加え、付加価値(バリュー)をつけていく連鎖として捉えたものです。
1985年、アメリカの経営学者マイケル・ポーター氏が自身の著書『競争優位の戦略』の中で使用し、有名になりました。

バリューチェーン分析は、企業活動を「主活動」と「支援活動」に分類し、その過程で生み出される価値や、競合他社に対する優位性を分析することで、効果的な戦略立案を図るというものです。

主活動とは

主活動とは、商品・サービスが顧客に届くまでの過程と直接関係する活動のことを指します。具体的には、購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスなどの活動がこれにあたります。

支援活動とは

支援活動とは、主活動の支援を主な目的としておこなわれる活動の総称です。具体例としては、インフラストラクチャー、人事・労務管理、技術開発、調達などが挙げられます。

バリューチェーン分析の目的

バリューチェーン分析をおこなうことで、どの過程で大きな付加価値が生み出されているのかを分析し、自社の強みと弱みを把握することができます。バリューチェーン分析の主な目的としては、「競合他社の活動予測」と「自社の強みと弱みの把握」が挙げられます。

競合他社をバリューチェーン分析の対象とすることで、ユーザーニーズの変化や市場の変化に対する他社の戦略や施策を予想できるようになります。これにより、外的要因による競合他社の活動の変化を予測することができます。

また自社に対してバリューチェーン分析をおこなうことで、各過程における付加価値を把握し、競合他社に対する強みと弱みを明確にすることができます。これにより、経営資本の効果的な再分配によるコスト削減と付加価値の拡大を実現し、利益の最大化を図ることができます。

バリューチェーン分析の大まかな流れ

バリューチェーン分析は大まかに分けて、「バリューチェーンの把握」「コストの把握」「強みと弱みの分析」「VRIO分析」の4つのステップで構成されています。

まずは、企業活動としてどのような主活動と支援活動がおこなわれているかを把握します。バリューチェーンのを構成する活動は、業種によって大きく異なります。

次に、各活動における費用や人材、時間などのコストを把握します。これにより、プロセスごとの収益性を認識することが可能となります。

その後、各活動の強みと弱みを分析します。このとき、競合他社の強みと弱みについても分析することが重要です。このプロセスにおけるポイントとして、少人数でおこなわないことが挙げられます。多くの担当者の意見を集め、偏った意見にならないよう配慮しなければなりません。

最後にVRIO分析をおこないます。これにより、どの活動が他社と比べて競争優位性が高いのかを明確にすることができます。

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バリューチェーン分析の使用例

「バリューチェーン分析で我が社の強みを明らかにしよう」

バリューチェーン分析をおこなうことで、自社の強みと弱みを明確にすることができます。これにより、重要度の高い課題の把握や差別化戦略の立案が可能となります。

「バリューチェーン分析の結果を活用しよう」

バリューチェーン分析は、実施するだけでは意味がありません。分析結果を精査し、重点を置くべき活動の見極めや経営資本の最適化をおこなうことが重要です。

「バリューチェーン分析をおこなう上では『付加価値』への理解が重要だ」

バリューチェーン分析は各活動で生み出される付加価値を明らかにするためのフレームワークなので、付加価値について全員が共通した正しい認識を持つ必要があります。

「なぜバリューチェーン分析が重要なのか?」

バリューチェーン分析は、事業戦略の成功率と効果を高めるためのフレームワークの1つとして、非常に重要です。

バリューチェーン分析に関係した気になる話題

強みを分析するための「VRIO分析」

「VRIO分析」とは、「価値(Value)」「希少性(Rareness)」「模倣可能性(Imitability)」「組織(Organization)」の4つの頭文字を取ったもので、自社の強みをこの4つの視点から分析するための手法です。
これにより、経営資源の競争優位性を分析することができるため、経営資本の適切な再配分や差別化戦略の立案が可能となります。

バリューチェーン分析を活用する為のポイント

バリューチェーン分析を活用するためには、改善するべき課題の把握やコスト削減などのアクションを取らなければなりません。コスト削減のためには、外部委託や予算の再配分の検討も必要となります。

また競合他社を対象としたバリューチェーン分析により、自社独自の強みを明確にした上で、その強みを活かして自社のポジションをつかむことも重要です。これにより、他社にはない付加価値を生み出すことができます。


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