IT/Web/マーケティング用語辞典

更新:2020年7月21日

にゅーろまーけてぃんぐ

ニューロマーケティング

脳科学の技術を応用して顧客の脳を分析し、その分析結果をもとに施策を講じるマーケティング手法のこと

別名
英字

POINTニューロマーケティングとは

ニューロマーケティングとは、脳科学の技術を応用して顧客の脳を分析し、その分析結果をもとに施策を講じるマーケティング手法のことです。「神経マーケティング」と呼ばれることもあります。

従来、企業が顧客の心理を把握するためのツールとしては、アンケートやインタビューが一般的でした。しかし、アンケートやインタビューでは、顧客が「本音」を語らない場合もあるため、実際の顧客の心理を把握することは困難でした。

これに対し、ニューロマーケティングでは、アンケートやインタビューなど、主観的な評価に加え、脳波の計測や無意識の行動の評価をおこないます。そのため、顧客の無意識下の動きや言語化されていない感情についても評価することが可能となります。

ニューロマーケティングが注目を集めている理由

近年、ニューロマーケティングが注目を集めている理由として、ニューロマーケティングの特徴である「言語化される前の感情の可視化」と「感情の変化の客観的な評価」が挙げられます。

①言語化される前の感情を可視化することができる
ニューロマーケティングを活用することで、脳波や無意識の行動を分析し、顧客の「本音」を理解することができます。これにより、潜在的なニーズを引き出したり、日常の自然な感情の変化を把握したりすることが可能となります。

②感情の変化を客観的に評価することができる
ニューロマーケティングでは、不確かな「感情」というものを定量的なデータとして、客観的に評価することができます。顧客の感情や心理を客観的に評価することで、共通の認識を持つことができます。

ニューロマーケティングで用いられる指標

ニューロマーケティングでは、主に「生理指標」「行動指標」「主観指標」の3つの指標が用いられます。

①生理指標
生理指標とは、脳波や心拍数、前頭葉に流れ込む血液量など、身体に関する数値のことです。生理指標を測定することで、人間の無意識下での行動を捉えることができます。

②行動指標
行動指標とは、人間の心身の動きを定量的に分析したデータのことです。例えば、視線の動きや反応時間、問題の正答率などがこれに当たります。

③主観指標
主観指標とは、アンケートやインタビューなど、顧客の意識下にある心理・感情に関するデータのことです。

ニューロマーケティングで用いられる技術

ニューロマーケティングの中で顧客に対して調査をおこなう際、「アイトラッキング」「表情認識」「fMRI」などの手法が用いられます。

①アイトラッキング
アイトラッキングとは、人間の視線の動きを計測する技術のことです。視線を集中している箇所や、視線を動かしたタイミング、視線の動きなどの情報を得ることができます。

②表情認識
表情認識とは、顔の表情から人間の心理・感情を分析する技術のことです。目や唇の動きをコンピューターで認識することで、その人の感情を科学的に推定します。

③fMRI
fMRIとは「Functional Magnetic Resonance Imaging」の略で、脳の活動を画像化する技術のことです。脳の神経活動を可視化し、測定することで、顧客の無意識下の可能を分析することができます。ただし、従来のマーケティングに比べ、コストがかかるというデメリットがあります。

ニューロマーケティングが抱えている課題

ニューロマーケティングが抱えている課題として、以下の2つが挙げられます。

①倫理・安全に細心の注意を払う必要がある
ニューロマーケティングでは、人間の脳について調査・分析をおこなうため、倫理や安全面に関して細心の注意を払わなければなりません。ニューロマーケティングを実施する際は、倫理的な基準を満たす必要があり、企業にとってハードルが高くなる原因になっています。

②専門的な知識が必要となる
ニューロマーケティングを実施するためには、脳科学の専門的な知識が必要となります。研究者同士が知識を共有し、専門的な知識を有する人材を育てていくことが重要です。

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ニューロマーケティングの使用例

「ニューロマーケティングを活用して、消費者の本音を捉える」

ニューロマーケティングを活用することで、顧客の心理・感情を科学的に推定することができます。

「今度のニューロマーケティングには、どの技術を使用するか?」

ニューロマーケティングでは、様々な技術が活用されていますが、特に注目されているのがアイトラッキングや表情認識、fMRIなどです。

「3つの指標を組み合わせて、ニューロマーケティングを実施しよう」

より効果的なニューロマーケティングを実施するためには、生理指標・行動指標・主観指標の3つの指標を組み合わせることが重要です。

「ニューロマーケティングをおこなう際は、安全面に注意しよう」

ニューロマーケティングをおこなう際は、安全面に細心の注意を払わなければなりません。また、倫理的な基準を満たす必要があるので、注意しましょう。

ニューロマーケティングに関係した気になる話題

ニューロマーケティングの今後

今後、技術の発展とともにニューロマーケティングも拡大していくと考えられています。
BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)など、脳科学に関する技術が発展し、脳科学がより身近な存在になることで、マーケティングへの応用も広がっていくと考えられているからです。

ただし、無意識に対してアプローチをおこなうことに対し、抵抗感を覚えたり、不快に感じたりする人もいるため、倫理的な問題については検討する必要があります。
また、脳科学に関してはまだまだ未解明なことも多いため、安易に信じ込むのではなく、情報を慎重に見極めることが重要です。


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