IT/Web/マーケティング用語辞典

更新:2019年12月22日

いのべーたーりろん

イノベーター理論

イノベーション(新商品や新サービスなど)の市場への普及に関する理論

別名
英字

POINTイノベーター理論とは

イノベーター理論とは、1962年にスタンフォード大学のエベレット・M・ロジャーズ教授が「イノベーション普及学」の中で提唱したイノベーション(新商品や新サービスなど)の市場への普及に関する理論です。
イノベーター理論では、新商品や新サービスなどの普及の段階を「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」の5段階に分類しています。自社の商品やサービスを普及させたいなどの、マーケティング戦略を立てるときに役立ちます。

イノベーター(革新者)とは

イノベーターとは、新商品や新サービスなどを最も早く購入するユーザーの層です。市場全体で2.5%しかいません。イノベーターは、新商品や新サービスなどの目新しさやイノベーション性に価値を感じることが多いです。
イノベーションの利点よりも目新しさに価値を感じるので、イノベーターに受け入れてもらうためには、イノベーションの斬新さや新しさが重要になります。

アーリーアダプター(初期採用者)とは

アーリーアダプターとは、イノベーターの後に続いて新商品や新サービスなどのイノべーションをしっかりと把握してから判断するユーザーの層で、「オピニオンリーダー」とも呼ばれます。市場全体の13.5%を占めています。
他の消費層の判断に影響を与えるので、アーリーアダプターに受け入れられるかどうかが普及が進むかどうかのカギになります。アーリーアダプターは、流行に敏感なユーザーが多いです。

アーリーマジョリティ(前記追随者)とは

アーリーマジョリティとは、アーリーアダプターの影響を受けてから比較的早い段階で新商品や新サービスなどのイノべーションを取り入れるユーザーの層です。市場全体の34.0%を占めています。
アーリーアダプターと比べてアーリーマジョリティは、イノベーションに対して慎重に行動します。アーリーマジョリティは、アーリーアダプターの影響を大きく受けるので、アーリーマジョリティに受け入れてもらうためには、アーリーアダプターに受け入れてもらえるかどうかが重要になります。

レイトマジョリティ(後期追随者)とは

レイトマジョリティとは、イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティが新商品や新サービスなどのイノべーションを受け入れて、世の中にある程度普及してから自ら取り入れるユーザー層のことです。市場全体の34.0%を占めています。
レイトマジョリティは、アーリーマジョリティよりもイノベーションに対して慎重で、保守的とも言えます。レイトマジョリティに受け入れてもらうためには、イノベーションを世の中の過半数以上が受け入れる必要があり、普及率を高めることが重要です。

ラガード(遅滞者)とは

ラガードとは、新商品や新サービスなどのイノべーションが一般的になってから取り入れる、もしくは一般化しても取り入れないユーザーの層です。市場全体の16.0%を占めています。
ラガードは、イノベーター理論の5段階の分類の中で、イノベーションに対して最も保守的で、流行に流されないか疎い傾向があります。ラガードに受け入れてもらうためには、イノベーションを一般化させなければなりません。

イノベーター理論の使用例

「イノベーター理論を使って、新商品のマーケティング戦略を考える。」

イノベーター理論は、新商品や新サービスなどのイノベーションを世の中に普及させたい時のマーケティング戦略を考える時に役立ちます。

「イノベーター理論の中で、イノベーターはたったの2.5%しかいない。」

イノベーターを動かすためには、イノベーターの「目新しさやイノベーション性に価値を感じる」という特徴を活用する必要があります。

「イノベーター理論のイノベーターとアーリーアダプターを合わせた16%が新商品普及のカギとなる。」

イノベーションを受け入れた消費者層が16%を超えた時に、商品の売れ行きが急に上がるという考えを「普及率16%の論理」と言います。このことから、イノベーターとアーリーアダプターがイノベーション普及のカギになります。

「イノベーター理論では、「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」の順にイノベーションの普及が進むと言われている。」

イノベーションの普及を進めたいのであれば、どの層にどんな施策をするかのマーケティング戦略を立てることが重要になります。

「イノベーター理論の分類のうち、「ラガード」はイノベーションに対して保守的とも言える。」

ラガードはイノベーションに対して保守的、もっと言えば否定的な層です。この層にもイノベーションを受け入れてもらうためには、イノベーション自体を一般化していく必要があります。

イノベーター理論に関係した気になる話題

マーケティングではアーリーアダプターが重要

アーリーアダプターは、イノベーターとは異なり、イノベーションの目新しさだけでなく、その利点にも着目して受け入れるかどうかを判断します。アーリーアダプターが口コミなどの情報を発信することが、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードがイノベーションを受け入れるかどうかの判断に影響を与えます。
このことから、アーリーアダプターがイノベーションの利点を受け入れるかどうかが普及が進めるカギとなります。

キャズム理論とは

キャズム理論とは、「イノベーター」「アーリーアダプター」の2つの層と、「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」の3つの層の間に、イノベーションを普及させる時にぶつかる障害(キャズム)が生じることを提唱した理論です。前者を初期市場と言い、後者をメインストリーム市場を言います。この2つの市場の間にあるキャズムを乗り越えることが、イノベーションを普及させる際に重要になるという考え方です。

そもそもキャズムは、「イノベーター」「アーリーアダプター」からなる初期市場と、「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」からなるメインストリーム市場が異なる価値観を持っているため生じます。初期市場は「目新しさ」を求めてイノベーションを手に入れようとしますが、メインストリーム市場はイノベーションに対して「安心感」が得てから受け入れ始めます。この価値観の違いがキャズムを生む原因になります。


この記事がお役に立ちましたら、"いいね!"をお願いします
minweb辞書のIT用語をお届けします