POINTイノベーションとは

イノベーション(innovation)とはもともとは革新、刷新といった意味を持つ英単語ですが、日本では技術革新といった意味でよく使われていました。さらに、近年、イノベーションは技術的な革新だけでなく、経済や社会に新しい価値を創造することや新しいアイディアなどの意味を持つようになりました。
また、シュンペーターの定義によれば、イノベーションには新製品や新技術の開発だけでなく、組織改革や新たな市場の創出も含まれます。

イノベーションはシュンペーターが提唱した経済発展の理論

1912年、20世紀を代表する経済学者ヨーゼフ・シュンペーターが著書「経済発展の理論」で、イノベーションを新しい財貨の生産、新しい生産方法の導入、新しい販売先の開拓、新しい供給源の獲得、新しい組織の実現という5つに分類しました。

・新しい生産物の創出(プロダクトイノベーション)
新技術や新しい製品やサービスなどの開発すること。
・新しい生産方法の導入(プロセスイノベーション)
その業界で用いられていなかった新たな生産方式などを導入すること。
・新しい市場の開拓(マーケットイノベーション)
企業、店舗、ネット販売などの新たな市場の開拓すること。
・新しい供給源の獲得(サプライチェーンイノベーション)
製品を作るための資源、原料、製品の新たな供給ルートを開拓すること。
・新しい組織の創出(オーガニゼーションイノベーション)
組織そのものに改革をおこない、業界にイノベーションを起こすこと。

プロダクトイノベーションとは新しい技術や製品を開発すること

プロダクトイノベーションとは、今までにない新技術や新しい製品やサービスなどの開発することです。プロダクトイノベーションを起こすことができれば、新製品で他社との差別化を図ることにつながります。

具体例としては、携帯電話市場におけるiPhoneの登場が挙げられます。iPhoneの登場は市場経済に大きな影響をもたらし、プロダクトイノベーションの代表例ともいえます。

プロセスイノベーションとは新たな生産方式を導入すること

プロセスイノベーションとは、その業界で今まで用いられていなかった新たな生産方式などを導入し、コストの削減や品質や性能の向上を図ることです。プロダクトイノベーションが製品や技術の革新で他社と差別化を測るのに対し、開発・物流などで他社とは異なる革新的なプロセスを実現するイノベーションをいいます。他の業界での生産方式を取り入れる場合もプロセスイノベーションに含まれます。

具体例としては、今まで人が生産していた製品工程をロボットに置き換えて人件費を節約することなどが挙げられます。

マーケットイノベーションとは新たな市場を開拓すること

マーケットイノベーションとは既存市場・新規市場問わず、新たな市場を開拓することをいいます。新たな立地でサービスを導入したり、別の顧客にアプローチしたりする手法が存在します。

具体例としては、ヤマト運輸の宅急便事業が挙げられます。もともと法人向けの輸送サービスしか取り扱っていなかったヤマト運輸は、一般家庭向けの宅急便サービスを考案し成功を収めています。

組織のイノベーションとは 組織の改革をおこなうこと

組織のイノベーションとは、組織そのものに改革をおこない、業界にイノベーションを起こすことをいいます。ほかの企業と連携して新たな価値を生み出すことや、自社の中から新たな子会社を創って投資することも組織のイノベーションに含まれます。

例としては、大手のハンバーガー店と大手飲料メーカーが契約し、さらなる事業拡大に成功したことが挙げられます。

イノベーションに関係した気になる話題

イノベーションの事例

イノベーションの事例について2つ挙げます。

1つはAirbnbです。Airbnbは従来ホテルや旅館のみが行なっていた宿泊行の枠組みに大きな変化をもたらし、個人でも気軽に宿泊業を始められる仕組みを提供しています。Airbnbは業界に大きな影響を与えた破壊的なイノベーションであるともいえます。

もう1つの事例はfacebookの誕生です。国境や国籍に関係なく世界中の人といつでもどこでも繋がれる仕組みを提供しています。この仕組みだけでなく、今やSNSでよく使われる「いいね」ボタンのアイディアもfacebookから生まれたイノベーションです。

イノベーションのジレンマとは

イノベーションのジレンマとは、業界トップの企業がイノベーションを起こせず、新興企業に遅れをとってしまうことを指します。
大手企業がイノベーションのジレンマに陥ってしまう理由としては、既存の製品の改善ばかりに気をとられて全く新しい製品の開発に気が回らなくなる、市場規模を小さく感じ参入をやめてしまう、市場のニーズを超えた最先端の技術開発をおこなってしまう、などの理由が挙げられます。