IT/Web/マーケティング用語辞典

更新:2020年3月19日

くろすせる

クロスセル / cross selling

ある商品を買う際に、他の商品とあわせて購入してもらうこと

英字

POINTクロスセル / cross sellingとは

クロスセルとは、顧客単価を上げるために有効な手法の1つで、顧客に他の商品とあわせて購入してもらうことを指します。クロスセルの目的は、顧客単価の増加による売上アップです。
例えば、関連商品やレコメンドとして別の商品を提示することもクロスセルの1つで、ECサイトを中心に広まってきています。

クロスセルが注目される背景

クロスセルが注目される背景には、人口減少や競合他社の増加により、新規顧客の獲得が難しくなっていることが挙げられます。その結果、既存顧客による売上の維持・向上がますます重要視されてきています。
また、Amazonや楽天などのECサイトでは、クロスセルがよく使われています。商品の購入履歴やサイトの閲覧履歴をもとに、商品の購入時にあわせて別の商品もレコメンドするという手法です。

クロスセルのメリット

クロスセルに取り組むメリットの1つとして「1:5の法則」が挙げられます。1:5の法則とは「新規顧客の獲得にかかるコストは既存顧客を維持するコストの5倍かかる」というもので、既存顧客から収益を上げることは、新規顧客から収益を上げることよりも効率的であることを意味しています。
また、これは効率よく利益を生み出すことにつながり、企業経営の効率向上にも繋がります。

クロスセルを成功させるコツ

クロスセルを成功させるコツとして、主に「顧客情報の集計・分析」「ナーチャリング」「施策の改善」の3つが挙げられます。

・顧客情報の集計・分析
購買履歴や行動履歴などの顧客情報を収集・分析することで、商品やサービス、ブランドにロイヤルティが高い顧客層を見つけ出します。ロイヤルティとは信頼度や満足度、愛着のことで、ロイヤルティが高い顧客層はクロスセルが成功しやすい傾向にあります。
また、顧客情報を分析することで、ユーザーニーズを把握することができます。
ロイヤルティが高い顧客層に対し、適切な商品をレコメンドすることで、クロスセルの成功率を上げることができます。

・ナーチャリング
ロイヤルティが低い顧客層に対しては、ナーチャリングをおこない、顧客の満足度を上げることが重要となります。ナーチャリングとは、有益な情報や無料サービスの提供を通じて、顧客の育成をおこなうことです。ロイヤルティを高めることで、優良顧客の育成を目指します。

・施策の改善
常にPDCAサイクルを回して施策の改善を図ることも重要です。そのためには、データを分析する部門やマーケティング部門、営業部門など、関連部署の連携が必須となります。

クロスセルの注意点

クロスセルを実施する上で注意が必要なのが、「押し売り」にならないようにすることです。強引に商品を薦めてしまうと、顧客が押し付けられていると感じ、かえって不信感を招いてしまう可能性があるからです。
そのためには、顧客視点に立ち、信頼関係を結ぶことが重要です。顧客のニーズを調査・分析し、顧客にとってのメリットを提示して、顧客視点に立った適切なレコメンドをおこないましょう。ナーチャリング施策によって自社の「ファン」をつくり、信頼関係を構築することも大切です。大事なのはあくまで顧客満足度であることを忘れないようにしましょう。

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クロスセル / cross sellingの使用例

「クロスセルを使って収益向上を目指そう」

クロスセルを用いて顧客単価を上げることで、全体の収益向上を目指すことができます。

「この商品はクロスセルに向いている」

他の商品とあわせて購入することが多い商品は、クロスセルに向いています。例えば、スマートフォンとスマホケースや、パソコンとマウスなどが挙げられます。

「Amazonのクロスセル戦略は」

AmazonなどのECサイトでは「これを買った人はこんな商品も買っています」という表示が出てくることがあります。これはクロスセル戦略の一環で、他の商品もあわせて購入してもらうことを目的としたものです。

「購入履歴をもとにクロスセルをおこなおう」

ECサイトでは、ユーザーの購入履歴を参考に商品をレコメンドし、クロスセルをおこなっています。

クロスセル / cross sellingに関係した気になる話題

収益向上を目指す「アップセル」

アップセルはクロスセル同様、収益向上のための手法の1つです。顧客単価を上げるため、より単価が高い商品を購入してもらうことを目指します。既存顧客へのアプローチによる、売上の維持・向上を目的としています。
性能が優れた商品の提示や、無料サービスから年会費のかかる有料サービスへの切り替えなどは、アップセル手法の一例です。

損失軽減を目指す「ダウンセル」

収益向上を目指すクロスセル・アップセルとは異なり、ダウンセルは損失を減らすことを目的とした消極的な手法です。
機能や価格の落ちる商品を薦める販売手法で、予算の関係で商品の購入を諦めた顧客に対し、性能は落ちるものの価格が安い商品を薦めることを指します。とにかく商品を購入してもらい、損失を少しでも軽減することを目的としているからです。


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