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更新:2020年3月27日

ぶるー・おーしゃん/ぶるー・おーしゃんせんりゃく

ブルー・オーシャン / ブルー・オーシャン戦略

競争相手のいない未開拓な市場/未開拓市場を活用した戦略

POINTブルー・オーシャン / ブルー・オーシャン戦略とは

ブルー・オーシャン(競争相手のいない澄み切った青い海)とは、主に競争相手のいない未開拓な市場を指します。これはINSEAD(欧州経営大学院)教授のW・チャン・キム とレネ・モボルニュ が共著した「ブルー・オーシャン戦略」の中で提唱されました。

ブルー・オーシャンの対義語として、レッド・オーシャンがあります。
レッド・オーシャン(競争の激しい、血で血を洗う赤い海)とは、主に競争の激しい市場のことです。一般的に商品・サービスの※コモディティ化が進み、価格競争が激化した市場を指す場合が多いです。

競争を中心としない(自ら価値創造を行う)ブルー・オーシャンでは、成長の機会は無限にあり、収益率もレッド・オーシャンと比較して多く期待できます。

※コモディティ化…、主に「機能や品質による差異が減少し、差別化が困難になった商品」のこと。

ブルー・オーシャンを見つける際に役立つ6つのパス

ブルー・オーシャンを発見に役立つ指標を6つ紹介します。
①代替産業の戦略を取り入れる
代替産業とは、主に別ジャンルの商品・サービスでありながら、同じニーズを満たす競合のことを指します。例えば、アメリカのサウスウエスト航空は代替産業として、自動車での移動に注目し、そこから戦略のヒントを得て成功したと言われています。

②同じ業界内の他の戦略グループから学ぶ
高級志向、低価格志向、回転率志向など、同業者であっても戦略が大きく異なるので、そこから新市場開拓のヒントが得られる可能性があります。

③買い手グループに目を向ける
商品・サービスの購入者と利用者は異なるケースがあります。
例えば、子供の服を購入する場合、購入するのは親ですが、利用するのは子供になります。
買い手と関わる存在に注目することも重要だと言われており、デンマークの製薬会社ノボは薬を購入する医師ではなく、利用者である糖尿病患者に注目することで成功しました。

④補完商品・サービスに注目する
製品の中には、何か別のもので補完することで価値が大幅に向上するものがあります。
例えば、ゲームソフトを利用する際は、ゲーム機器が必要になります。さらに遠距離で通信をおこなう場合、WiFiが必要になります。

⑤機能志向と感性志向の検討をする
時計ならばファッションに合うデザインか(感性志向)、豊富な機能が備わっているものか(機能性志向)など、機能志向か感性志向かで価値は異なります。

⑥未来を予測する
将来を予測することは、新たな市場の発見のヒントを得られる可能性があります。
例えば、Apple社は音楽の無料ダウンロードが流行する兆しを見つけ「iTunes」というサービスを提供したと言われています。

ブルー・オーシャン戦略において最重要な「バリューイノベーション」とは

ブルー・オーシャンの戦略を策定する際に、最も重要なことが「バリューイノベーション」を創造することだと言われています。バリューイノベーションとは、コストを下げながら買い手にとっての価値を高める状態を指します。また、コスト削減か付加価値のどちらか1つをおこなうのではなく、両方おこなう状態を指します。
バリューイノベーションを創造することが、ブルー・オーシャン戦略成功させる重要な要因になります。

ブルー・オーシャン戦略策定に役立つフレームワークとは

ブルー・オーシャン戦略の策定(バリューイノベーションの創造)に役立つ代表的なフレームワークの1つとして、「アクションマトリクス」が挙げられます。

アクションマトリクスでは、「減らす」「取り除く」「増やす」「付け加える」の4項目を既存市場の常識や基準と照らし合わせることで、バリューイノベーションを創造できるポイントを探します。

はじめから、コストを下げつつ、価値を高める方法を探すのは困難ですが、アクションマトリクスを利用して「減らす」べきものは何か、「付け加える」べきものは何か、などを追求することで比較的バリューイノベーションを探しやすくなります。

ブルー・オーシャンで戦うメリット

ブルー・オーシャン戦略の主なメリットは2つあります。
①低コストで高単価な利益
ブルー・オーシャンでは、レッド・オーシャンと比較して高利益をもたらすことが可能です。

②シェアを独占できる
競争相手がいない独占市場になるので、成功すれば短期間で多くのユーザーを獲得できる可能性があります。

ブルー・オーシャンで戦うデメリット

ブルー・オーシャン戦略の主なデメリットは2つあります。
①ブルー・オーシャンを発見するのに時間と労力がかかる
ブルー・オーシャンを発見することは容易なことではなく、発見したとしても必ずしも事業が成功するとは限りません。

②模倣者の存在
ブルー・オーシャンは時間が経てばレッド・オーシャンになります。
これは競合が自社の製品を模倣し、市場に参入してくるからです。ブルー・オーシャンを創造したら安泰と考えるのではなく、その後も努力し続ける必要があると言われています。

ブルー・オーシャン戦略の成功事例

①シルクドゥソレイユ
シルクドゥソレイユ(以下シルク)は世界で最も人気なサーカス団のことです。シルクは、同業界に君臨していたリングリング・ブラザーズ&バーナム&ベイリー・サーカスが100年以上かけて到達した売上高を約20年ほどで達成しています。シルクはそれまで業界の常識と言われていた要素を取り除き、新たな付加価値を付け加えることで成功しました。

②UNIQLO
ブルー・オーシャンで成功した代表的な日本の企業として「UNIQLO」が挙げられます。
「ヒートテック」や「シルキードライ」など、それまでの衣類にはなかった機能性の高い製品を提供し、自社で製造から販売までおこなう(バリューイノベーションの創造)ことで、コストを削減しました。

「ブルー・オーシャン / ブルー・オーシャン戦略」を調べた人はこの用語も調べています

ブルー・オーシャン / ブルー・オーシャン戦略の使用例

「UNIQLOは高機能な衣服を販売して、ブルー・オーシャンを創造した。」

UNIQLOはブルー・オーシャン戦略の成功事例です。それまでにはなかった機能性の高い衣類をコストを抑えて製作し、成功を収めました。

「ブルー・オーシャンは創造した後の戦略も考える必要があります。」

ブルー・オーシャンでは、時間が経てば模倣者が現れることもあり、創造した後の戦略を考えることも必要です。

「ブルー・オーシャンに進出するのはリスクが高すぎる」

ブルー・オーシャンを発見したとしても必ず成功するとは限らず、進出にはリスクも伴います。

「我が社はブルー・オーシャンになるが、利益はそれほど高くはない」

ブルー・オーシャンでは競合が少ないため、成功すれば比較的高単価な利益が得られますが、そうでない場合もあります。

ブルー・オーシャン / ブルー・オーシャン戦略に関係した気になる話題

ブルー・オーシャンと似た意味を持つ「ニッチ戦略」とは

ニッチ戦略は、一般的に「競合のいない、誰も注目していない市場に進出すること」を指します。ニッチ戦略とブルー・オーシャン戦略はほぼ同義として扱われている傾向にありますが、厳密には意味が異なります。ニッチ戦略は、ブルー・オーシャンより「認知されている分野」を対象としています。競合いない市場というのは両者とも共通していますが、ブルー・オーシャンの方がさらにニーズのない市場を対象としています。


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