IT/Web/マーケティング用語辞典

更新:2020年6月29日

あとりびゅーしょんぶんせき

アトリビューション分析

コンバージョンに至るまでのすべての接触履歴を解析し、コンバージョンへの貢献度を測る分析手法

英字

POINTアトリビューション分析とは

アトリビューション分析とは、直接コンバージョン(成果)に繋がったアクションだけでなく、コンバージョンに至るまでのすべての接触履歴を解析し、コンバージョンへの貢献度を測る分析手法です。コンバージョンに至るまでの流入経路・広告の貢献度を、正当に評価することを目的としています。

アトリビューション分析をおこなうことで、貢献度に応じた適切な広告コストの配分や、マーケティング戦略の立案に活用することができます。これにより、マーケティング効果の最大化を期待することができます。

アトリビューション分析の手順

アトリビューション分析では、直接的にコンバージョンに繋がったわけではない流入経路やメディア、広告なども評価対象となります。まずは、獲得したコンバージョンと、コンバージョンに至るまでにユーザーが接触した媒体すべてを把握します。

次に、コンバージョンへの貢献度を、コンバージョンに至るまでにユーザーが接触した媒体すべてに振り分けます。これにより、それぞれの媒体の貢献度を可視化することができます。

最後に、目的に応じて分析評価の調整をおこないます。貢献度の配分を変更したり、特定の接触タイミングを重視して評価することで、媒体の評価をおこないます。

アトリビューション分析の評価方法

アトリビューション分析において、コンバージョンに至るまでの接触履歴の評価方法は様々ですが、主な評価方法として「成果配分モデル」「ベイジアンネットワークモデル」「マルコフ連鎖モデル」「ボルツマンウェイトモデル」などが挙げられます。

特に使用されることが多いのが「成果配分モデル」です。成果配分モデルとは、コンバージョン獲得に至るまでに顧客が経由した接点を、分析を利用するケースに応じて重みをを分配して評価する手法のことです。重点的に評価するポイントによって、使用するモデルを選択し、流入経路や広告を評価します。

アトリビューション分析における代表的な5つのモデル

成果配分モデルでは、主に5つのモデルが使用されます。

①ラストクリックモデル(終点モデル)
コンバージョンに結びついた、最後の接触媒体・流入経路に100%の貢献度を割り振るモデルです。コンバージョンに最も近い媒体を、重点的に評価することができます。
アクセス解析ツールのデフォルト設定になっていることも多く、短期的なキャンペーンや、既存顧客に対して購入を促す広告の作成などに利用されます。

②ファーストクリックモデル(起点モデル)
コンバージョンに至ったユーザーが、最初に接触した媒体・流入経路に100%の貢献度を割り振るモデルです。新規顧客の獲得に効果的な媒体を評価することができます。
ブランド認知を目的とした広告を分析する際に、使用されることの多いモデルです。

③線形モデル(均等配分モデル)
ユーザーがコンバージョンに至るまでに接触したすべての媒体に対し、均等に貢献度を割り振るモデルです。幅広く広告活動を展開している場合に有効なモデルです。

④接点ベースモデル
ユーザーがコンバージョンに至るまでに接触した媒体のうち、最初と最後に接触した媒体に対し、貢献度を多めに割り振るモデルです。

⑤減衰モデル
コンバージョンに至るまでのすべての流入経路のうち、最後に接触した媒体を最も評価し、コンバージョンから遠くなるにつれて割合を下げて貢献度を割り振るモデルです。

アトリビューション分析が担う役割

アトリビューション分析をおこなうことで、出稿している広告の特性を把握し、目的に応じて使い分けることが可能となります。

たとえば、ユーザーが最初に接触した広告を評価することで、新規顧客の獲得に向いている広告を把握することができます。このように広告の特性を明確にすることで、広告コストを適切に配分し、効果的な広告運用を設計することができます。

また、アトリビューション分析では、直接的なコンバージョンの獲得には至らないものの、認知度の向上や新規顧客の獲得に貢献している広告も評価することができます。そのため、新規ユーザーの獲得や、新たなターゲットの発見も期待することができます。

アトリビューション分析の注意点

アトリビューション分析は有効な分析手法の1つですが、アトリビューション分析に向いている場合とそうでない場合があるので、導入する前に考慮する必要があります。

コンバージョンに至るまでに複数の媒体を経由する場合や、コンバージョンに占める指名検索の割合が高い場合などは、アトリビューション分析を活用することができます。一方、他の商品と比較・検討されにくい商品を扱っている場合や、コンバージョンに至るまでの流入経路がシンプルな場合は、アトリビューション分析によって得られる効果があまり期待できません。

また、アトリビューション分析は、コンバージョンに至るまでの流入経路を分析するものなので、認知度の向上に貢献していても、コンバージョンに至らなかった場合は評価されません。また、アトリビューション分析だけだと、評価の抜け漏れが発生する可能性があるので、状況に応じて適切な分析手法を利用することが重要です。

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アトリビューション分析の使用例

「アトリビューション分析を用いて、我が社の広告運用を改善しよう」

アトリビューション分析を用いることで、各媒体のコンバージョンへの貢献度を算出することができます。これにより、無駄な広告コストを削減し、より効果的な広告運用を図ることができます。

「今回のキャンペーン広告の効果を、アトリビューション分析を用いて検討しよう」

アトリビューション分析は、キャンペーンなど短期的な広告の評価方法としても活用することができます。短期的なキャンペーンでは、ラストクリックモデルが使用されることが多いです。

「アトリビューション分析と他の分析手法を組み合わせる」

アトリビューション分析は有効な分析手法の1つですが、コンバージョンに至った流入経路しか評価することができません。他の分析手法と組み合わせて、より多角的に広告を評価することが大切です。

アトリビューション分析に関係した気になる話題

アトリビューション分析が重要視されるようになった背景

アトリビューション分析が広まる前、Webマーケティングにおける効果測定は、コンバージョン直前の広告のみを分析・評価するものでした。

この評価方法をもとに広告コストを配分すると、直接的なコンバージョンに繋がりやすいアフィリエイトやリスティングに重点を置くことになります。商品・サービスの「認知」に貢献している広告は評価されにくく、投資を抑えることになるため、新規ユーザーとの接点が減り、結果的にコンバージョンが頭打ちになってしまうという問題がありました。

そこで注目されるようになったのが、アトリビューション分析です。アトリビューション分析では、ユーザーがコンバージョンに至るまでのすべての媒体を評価することができるので、コンバージョンに至るまでの各広告の効果を明確化することができます。

このようにアトリビューション分析を使えば、今まで評価されにくかった広告の効果を正しく評価でき、成果を最大化することに繋がるといった理由から、重要視されるようになりました。


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